2017-10

12・27(木)ゲルハルト・オピッツのシューベルト連続演奏会第6回

    オペラシティコンサートホール  7時

 毎年暮に2回ずつという、ゆっくりしたペースで進められているオピッツの日本におけるシューベルト・ツィクルスも、いつの間にか第6回まで来てしまった。
 今夜の曲は、「ソナタ ホ長調D459」(所謂第3番)、「ソナタ ト長調D894 Op.78」(第18番「幻想」)、即興曲集D935 Op.142」。アンコールが「3つの小品D946」からの有名な「第1番」。

 シューベルト若書きの作品でさえ円熟の時期の作品のように風格充分に弾いてしまう、というオピッツには微苦笑を禁じえないが、彼の演奏にあふれるスケールの大きさ、ふくよかさ、温かさには、汲めども尽きぬ魅力がある。
 「ホ長調」の演奏が始まった時、不思議にも作品とは全く関連もないことながら、私は昔の何か非常に懐かしい記憶の情景の中に快く引き込まれるような気持になった。とろけるような懐かしさ、といってもいいかもしれない。

 もちろん、ポリーニやピリス、ブレンデル、ルプー、シフといった人々の演奏もシューベルトの音楽の好さを存分に味わわせてくれるが、それとはまた異なるヒューマンな表現がオピッツの演奏には有る。

 しかも、まろやかな響きの裡にがっしりと音楽を組み立てて行くその練達の呼吸の見事さ。「幻想」のフィナーレで、コーダに向かって次第にふくらみを増し、一歩引いてその勢いを矯めては、再び大きくスケール感を増しつつ盛り上げて行く構築の巧さ。
 下手な演奏にかかれば締まりのない曲になりかねぬシューベルトのソナタが、実はクライマックスに向けて論理的に積み上げられて行く曲なのだと感じさせてくれるオピッツの演奏である。

 作品142の「即興曲集」は私の大好きな曲でもあるが、この美しく豊かなハーモニーとその転調とを、オピッツは重心豊かに、分厚い音でたっぷりと描き出し、陶酔に誘ってくれた。その一方、第4曲では、予想外にラプソディックな激しさをも聴かせるオピッツでもあった。

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