2020-04

12・19(水)ベルリン滞在記1 
キリル・ペトレンコ指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

    フィルハーモニー  8時

 前日、ベルリンに入る。天気予報では雪と出ていたが、ティアガルテン横の道路に少し残雪がある程度で、市内は雨だった。今日は曇天。大気は冷たいが、意外に寒くないのが有難い。

 初日はベルリン・フィル。
 数ある若手指揮者の中でも、ネジェ=セガンやソヒエフとともに突出した活動を繰り広げているキリル・ペトレンコ(40歳)。このオケ相手にどんな指揮をするか興味津々で聴きに行った。

 但しプログラムがクセモノで、ストラヴィンスキーの「詩篇交響曲」に始まり、ルディ・シュテファンの「ヴァイオリンと管弦楽のための音楽」(1913年初演)と「管弦楽のための音楽」(1912年初演)、最後がスクリャービンの「法悦の詩」という構成である。
 こんなプログラムは、日本ではとても聴けはしないだろうし、ベルリンだってふだんはどうだろう。今日のホールも空席は少なくなかったし、反応もイマイチというところであった。しかし、こういうプログラムを定期で取り上げるだけ、立派なものと言わなければなるまい。

 ルディ・シュテファン(1887~1915)は、ドイツの作曲家で、将来を嘱望されながらも第1次世界大戦で戦死した人という。
 今夜聴いた2つの作品は、ある意味では中期以降のヒンデミットに似た即物的な作風を感じさせるが、叙情的な部分ではむしろスクリャービンにも似た非常に官能的な和声の色彩感を備えている。そういう点では興味深かったが、部分的にはともかく、全体としては必ずしも面白いものではない(ヒンデミットが苦手な私としては、尚更そうなる)。

 その1曲目では、ヴァイオリンのソロを受け持ったダニエル・スタブラヴァが大きな拍手を受けていた。2曲目はちょっと洒落た念入りな終り方をするが、この最後の音が消えた瞬間に上手上階席あたりで1人の男が何故か「ワハハ」と大声で笑い(この終り方は面白いじゃないか、というニュアンスの笑い方だったが)、場内も釣られて何となく寛いだ雰囲気になり、拍手喝采に移った。
 しかし、キリル・ペトレンコの指揮は非常に明晰で、この2曲をも極めて見通しのいい構築を以って聴かせてくれた。なかなかの手腕である。ただ、ベルリン・フィルがこういう曲をやると、否が応でも生真面目な表情になってしまうが、その辺は彼もオケに合わせたという印象がなくもない。

 その他の2曲でも、気鋭のペトレンコとはいえ、クソ真面目なベルリン・フィルを自己流に引きずり回すということは、未だやっていないようである。
 「詩篇交響曲」ではベルリン放送合唱団が協演、ペトレンコは実に明快なリズム感だ。
 一方、「法悦の詩」の方は、ペトレンコの本領発揮を期待したが、やはりベルリン・フィルの個性が出た真面目な「法悦」になった。だが、このオケが総力を挙げると、この曲の終結の昂揚の個所などはまさに物凄く、それこそ音響的な「法悦」になる。

 9時50分終演。タクシーもつかまらないし、地下鉄に乗るのも面倒なので、ソニー・ビル前からポツダム広場を通り、ライプツィヒ通りをまっすぐに、ミッテの方にあるヒルトン・ホテルまで歩いて帰る。たいした距離ではないし、それほど寒くはない。

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