2020-04

12・15(土)ヤクブ・フルシャ指揮東京都交響楽団のバルトーク

   サントリーホール  7時

 都響プリンシパル・ゲスト・コンダクターのヤクブ・フルシャ(チェコ出身)、1年ぶりの登場。今回はバルトーク・プロで、前半が「ピアノ協奏曲第2番」(ソロはゲルハルト・オピッツ)、後半が「ガランタ舞曲」と「中国の不思議な役人」組曲。

 昨年12月にはドヴォルジャークの「スターバト・マーテル」で見事な指揮を聴かせたフルシャ、今年はそれ以上に素晴らしい指揮を披露した。31歳とは思えぬ才能である。
 最初の協奏曲は・・・・「ドイツの大家オピッツが弾くバルトーク」だからまあ、ご愛敬といったところだが、後半の2曲になると、フルシャの躍動的な指揮が冴え、都響から超快演を引き出す。

 「ガランタ舞曲」冒頭での、都響の弦の音色の艶やかさ、しなやかさからして魅惑的だ(コンサートマスターは矢部達哉)。全曲における鋭いアクセント、強烈なデュナミークの対比、激しい起伏。「ガランタ舞曲」は、ここではもはや舞曲というより、一種の怒りの爆発の音楽のような様相を呈する。

 「中国の不思議な役人」も同様。鋭角的で、激烈で、攻撃的な演奏になった。これまでいくつか聴いて来た日本のオーケストラによる「中国の不思議な役人」の中で、量感という点ではこれより上回るものもあったが、これほど鋭い演奏に出くわしたことは、かつてなかった。しかも、オーケストラのバランスには絶妙なものがある。

 こういった演奏を聴くと、フルシャという人には、先日連れて来たフィルハーモニア・プラハというオーケストラより、こちら快調な都響の方が、彼にとってずっと相性がいいのではないか、とさえ思えるほどである。
 テンポが雪崩を打つように動いて行くあたりの呼吸は今一つだが――これは「ガランタ舞曲」でもそうだったが――それが巧くできるようになるのは、たいてい年齢を重ねてからのこと。今はまず、この若々しい覇気を称えたい。
 この分で行くと、来週(20日)の定期のマルティヌーやベルリオーズもさぞ圧巻だろうと思うが、ベルリン旅行のため聴けないのが残念至極。

コメント

魅力的なプログラム。第2協奏曲は傑作であるにもかかわらず、何故か演奏頻度が極めて低く、20年以上も前に田崎悦子さんの演奏を聴いて以来でした。とはいえオピッツさんのソロですので、息をのむようなとか畳み掛けるようなといった演奏ではありませんでしたが、暖色系の落ち着いた趣があり、1階やや前方で聴いた限りでは音量も過不足なく、1楽章カデンツア、2楽章など美しい箇所も多々ありました。
後半は東條先生が書かれておられるように緊張感のある凄い演奏!。都響がCSOのように聴こえました。民族風旋律をたっぷり歌う弦楽器の見事さ、「中国の不思議な役人」では合奏能力高さとトロンボーンの妙技が光りました。都響は本当に好調です。

タイトル、標題と曲

 ベルクのヴォツェックが、その内容にも関わらず大変美しいと。また、ヤナーチェクの利口な女狐の物語が、素晴らしいと聞くように、この「中国の不思議な役人」という変なタイトルの作品もまた、標題に関係なく、素晴らしい曲でした。形式に囚われないからでしょうか。いい出来栄えと、バルトークに賛辞を覚える、いい演奏でした。
 パンフレットの解説を読み、気持ち悪いのを、聴きに来てしまったと、思っていたのですが。それはサロメが、鮮烈な後味だったのと同様かも知れません。

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