2017-10

12・11(火)トゥガン・ソヒエフ指揮トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団

    愛知県芸術劇場コンサートホール  6時45分

 土曜日にロシアものを聴いたばかりだが、このコンビの演奏、フランスものも魅力なので、名古屋まで聴きに行く。
 なんせ今夜は、ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」、ラヴェルの「ボレロ」、休憩後がベルリオーズの「幻想交響曲」、というプログラムで、――こんなふうに曲を並べた演奏会には、めったに出会えないだろうし。

 ソヒエフ、ロシアものではクセモノぶりを発揮して大胆不敵な解釈を押し出していたが、フランスものとなると流石に節度を心得てというのか、端整でストレートな構築を聴かせる(前回来日の際にもそうだった)。この対照が面白い。

 今夜の「ボレロ」では、遠くからゆっくりと近づいて来るような最弱音とテンポで開始し、さほど劇的に煽り立てたりせずに最後までそのテンポを保持したまま頂点に持って行くという指揮。これもその端整さを示す一例か。しかしその一方で、「幻想交響曲」の第2楽章の終りをフワッと力を抜いて締めてみせるというような洒落っ気も披露してみせる。
 いずれにせよ、彼が音楽監督として、既にこのオーケストラを完全に掌握し、細部に至るまで制御していることは、どの曲の演奏を聴いても明らかである。

 オーケストラの方も、すこぶる多彩な表現を聴かせる。
 最初の2曲では、音色は華やかではあるが綺麗な音というほどではなく、むしろ土曜日のロシアものと同じように、硬質で荒々しい音を響かせていた。
 ところが、「幻想交響曲」に至るや、俄然しっとりとして均衡豊かな、豊麗な音を響かせはじめる。特に弦楽器群の艶やかな音色は素晴しく、第3楽章後半などではその美しさが最高度に発揮された。その中でも、チェロ・セクションの力強さと華麗さは、称賛されていいだろう。
 最後のクライマックスは、この光彩陸離たるオーケストラの響きと、音楽を熱狂させながらも決して造形を崩さぬソヒエフの巧みなコントロールとが精妙に合致して、極めてスリリングなものとなっていた。

 アンコールは「カルメン」第3幕への前奏曲と、同じく第1幕への前奏曲(また!)。しかし前者では、木管のソロが順番に次々に前面に出て来ては入れ替わるといった演奏が面白く、この辺りはソヒエフの解釈というより、フランスのオケならではの味、と言った方がいいかもしれない。

 今年来日したオケの中では、これが一番面白かった。これより上手いオケはあったが、これほどヴィヴィッドな演奏をするオケは、他になかった。
 終演は8時50分頃。9時半の「のぞみ」に乗り帰京。

コメント

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東条先生こんにちは。私はサントリーでのフランスものに行きました。ローマは冒頭から普段よく聞くドイツのオケとは全く違う音色に魅了されてしまいました。先生のおっしゃるとおり、私も今年一番楽しく聞けたコンサートだったかも知れません。アンコールは道化師の間奏曲がシンフォニックに聞こえて面白かったです。

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