2020-07

11・23(金)第8回浜松国際ピアノコンクール本選初日

    アクトシティ浜松大ホール  6時

 2300席、完売という。かなりの熱気である。
 本選出場者は6人。火曜日に聴いた4人のうち、これはなかなか良いな、と思った3人が3人とも、本選出場を果たしていた。
 本選ではソロの曲はなく、全員がコンチェルトを1曲ずつ演奏するという仕組。井上道義が指揮する東京交響楽団が協演している。

 初日の今日は日本人1人、ロシア人2人が登場。
 最初に内匠慧(たくみ・けい)がラフマニノフの「第2番」を、次にアンナ・ツィブラエワがシューマンの「イ短調」を、最後にイリヤ・ラシュコフスキーがプロコフィエフの「3番」を弾いた。

 この中では、ラシュコフスキーがダントツで光っていた。ロシア生まれの27歳、パリのエコール・ノルマル音楽院で学び、昨年のルービンシュタイン国際コンクールで3位に入賞している人だ。
 弾いたのがプロコフィエフという自国の作品であることは、まず絶対の強みだろう。しかもすこぶる演奏効果の上がる曲ということもあって、文字通り体当たり的な、激しい推進力にあふれたソロが展開された。第2楽章後半や、第3楽章大詰めでのオーケストラとの気魄の応酬は舌を巻くほどであった。今日は最初から煽り気味の演奏をしていた井上と東響が、この曲ではいっそう猛り立って突進した感もあり、その3者の熱気に、客席までが大変な盛り上がりを示したのであった。

 ラシュコフスキーの演奏では、単に勢いがいいというだけでなく、音楽に明快な自己主張を感じさせた点がまず評価されるだろう。先日の第3次予選でも、ソロ曲では豪快な推進性を、室内楽では他の楽器と調和する姿勢を見事に使い分けていたラシュコフスキーだが、今夜の協奏曲でも硬軟使い分け、オーケストラと丁々発止の対決をするという情熱の演奏を聴かせたのである。

 同じロシアのピアニストでも、アンナ・ツィブラエワ(22歳、モスクワ音楽院)は、今夜はちょっと緊張が過ぎたのか。古典的ともいうべき清楚なピアニズムで、このシューマンの協奏曲から繊細な面を浮き彫りにしようとする姿勢は理解できるし、美しい音は持っている。ただし曲の最初からして少し表情が硬かった上、タッチにも不安定なところがしばしば聞かれたのは事実だ。第1楽章のカデンツァあたりから調子を取り戻したように思えたが、その後もやはり不安定さが付きまとう。それでも第3楽章は、よくやった、というところだろう。

 最初に弾いた日本の内匠慧(20歳、英国王立音楽院)は、弾く前は何か緊張気味だった様子だが、いざ弾きはじめると、なかなかの豪壮なスケール感を示し、オーケストラの煽りにも拮抗して力強く進んで行った。ただし時にリズムが揺れるような感があったのは何故か? また、ゆったりした個所ではやや緊迫感が薄らぐような印象があり、第3楽章では第2主題も含めてややパッションが下降気味(?)になる。優等生だが、聴衆の心に響いて来るものが何か一つ・・・・といったところか。

 火曜日にも書いたことだが、――若者たち、本当に一所懸命、よくやっている。称賛したい。

      ⇒ショパン 特集

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/1528-41cd07c0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

ブログ内検索

お知らせ

●2007年8月以前のArchivesを順次、アップロード中です。併せてご覧下さい。
2007年8月
2007年7月
2007年6月
2007年5月
2007年4月
2007年3月
2006年8月
2006年7月
2006年4月
2006年3月
2005年12月
2005年8月
2005年4月
2005年3月
2004年5月
2004年4月

最近の記事

Category

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」