2020-02

11・20(火)マイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団

   東京文化会館大ホール  7時

 つい3時間前のコンクールの張りつめた雰囲気から気持を切り替えるのには多少の努力を要するが、そこはそれ、新幹線の中での仮眠をも利用しつつ、職業意識でなんとか。

 今夜のコンサートは、都民劇場の公演だ。ソリストのユジャ・ワンを含め演奏者は昨夜と同じだが、プログラムは全く違う。
 最初にジョン・アダムズの「ショート・ライド・イン・ア・ファストマシーン」(1986年作曲)なる、ファンファーレ系の賑やかな小品が演奏された。プログラムにアメリカの現代作品を加えるのは、MTTとこのオケの前回の来日公演でも行なわれたことだ。聴衆の反応はイマイチとはいえ、姿勢は評価されてしかるべきだろう。

 2曲目が、ユジャ・ワンが弾くプロコフィエフの「ピアノ協奏曲第2番」。
 これは彼女の壮烈な体当たり的熱演と、豪快かつ強靭なピアニズム、激しいエネルギーの炸裂、などといった特徴を持つソロの威力が、存分に発揮された演奏と言えるだろう。第1楽章展開部での長い激しいソロは、背後に詰める指揮者やオーケストラの存在をすら忘れさせるほどであった。
 昨夜のラフマニノフと同様、小気味よい演奏で、しかも作品との相性という点では、今夜のプロコフィエフの協奏曲の方がハマっていたかもしれない。
 ソロ・アンコールにはシューベルト~リストの「糸を紡ぐグレートヒェン」だったが、こちらの方は糸紡ぎの車というより、タービンが回転するような感。

 後半は、ラフマニノフの「第2交響曲」。アメリカのオーケストラらしい艶やかで豊麗な音色が、この作品の叙情的な面を余す所なく浮き彫りにする。
 聴かせどころの第3楽章など、厚みのある、しかも明るく温かい弦の音色がひときわ映えた。楽章の最後で、弦の最弱音が微かに消えて行く個所では、その美しさに、私のうしろに座っていたお客さんが溜息を漏らしていたほどである。

 ただし、第4楽章大詰のような昂揚個所でもMTTは全くと言っていいほどテンポを加速せず、あくまでイン・テンポのままで「正確に、明晰に、整然と最後を決め」る。これは、昨夜のマーラーの「5番」と同様だ。ブルックナーの交響曲ならそれは適切な選択だが、これらの作品の場合には些か欲求不満を免れず・・・・といってもこれは彼の美学なのだから、とやかく言っても致し方ない。
 それにしてもサンフランシスコ響、今夜もまたこの上なく立派な演奏であった。

 この豪勢で華麗な音の洪水には、さすがに少々疲労。アンコールまでは聴かずに失礼させていただいた。

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