2020-07

11・14(水)ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー管弦楽団

   サントリーホール  7時

 ゲルギエフが精魂込めて育てた若手奏者を中心とする最近のマリインスキー管弦楽団がどんな音を出すか、ロシア作品の演奏でそれを確かめたかった。
 今夜のプログラムは、リャードフの「キキモラ」、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」(ソロはデニス・マツーエフ)、ショスタコーヴィチの「第5交響曲」。オケのアンコールはチャイコフスキーの「胡桃割り人形」の「アダージョ」。

 昨年の「トロイアの人々」や、今年の「ルチア」でも感じたとおり、たしかに弦の音色はいい。昔のマリインスキー管――ゲルギエフ着任後の10年間ほどの時代のことを言っているのだが――に聞かれたような濃厚華麗な極彩色や深い陰翳はもはや無いが、その代わり、明るい張りのある響き、清澄な音色、シャープな切れ味といった特徴が弦楽器群に備わるようになっている。
 私は、個人的にはショスタコーヴィチの「5番」というのは全く好きな曲ではないのだが(4番の方がずっといい)、しかしこの弦の音色であれば、第1楽章や第3楽章は聴いてもいいと思ったし、事実、満足できるものだった。

 ラフマニノフの「3番」では、熱狂的な終結にかけ、これでもかと煽り立てて行くゲルギエフの手法が今回も冴える。ここをワッと沸かせるようにもって行く作戦の巧さでは、ラトル(ザルツブルクでの演奏)と、このゲルギエフが双璧ではなかろうか。
 今夜は、それに乗ってマツーエフが猛然たるパワーを全開した。ソロ・アンコールは、チャイコフスキーの「四季」からの静かな「10月」と、グリーグの猛技(?)炸裂の「山の魔王の宮殿にて」。若者らしい元気は買うが、2曲もやることはなかろうに。

 プログラム冒頭の「キキモラ」では、いかにもロシアの色彩感という特徴が聴かれたが、これは数分の小品に過ぎぬもの。
 その他の曲目では、作品の性格からして、どうやら外面的な威容ばかりが目立つ演奏に終始したようである。凄いけれども感動には及ばざりき、というところか。――これがゲルギエフの本領であっては困る。
 今夜はまさに立錐の余地もない満席。

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