2020-07

11・9(金)山田和樹・日本フィル正指揮者就任記念定期 ゲネプロ

   サントリーホール  3時半

 あいにく、今日も明日も本番が聴けないので、本番前のゲネプロを取材させてもらった。せっかくの山田和樹の正指揮者就任記念定期なのだから、せめて陰ながら祝おうと。

 プログラムが面白い。1曲目に演奏された、野平一郎の「グリーティング・プレリュード」は、例の「ハッピー・バースデイ」が主題となり、そのフシは最後に初めて正体を現わすというのがミソだ。ちょっとミステリアスな雰囲気もある、弦の美しい曲である。

 2曲目がガーシュウィンの「ヘ調のピアノ協奏曲」、パスカル・ロジェの客演はゴージャス。だが言っては何だが、こういうアメリカン・スウィング(?)の曲は、日本フィルは、あまり得意な方ではないだろう。
 3曲目は、これは本当に珍しいヴァレーズの「チューニング・アップ」という小品で、オーボエのA音によるチューニングが開始されたと思っているうちに、いつのまにかそれが全管弦楽の大音響に発展するというユーモア溢れる作品である。

 そして最後が、これもナマで演奏されることは珍しい、ストコフスキー編曲になるムソルグスキーの「展覧会の絵」。
 ラヴェルの編曲を光彩陸離と評するなら、こちらは豪壮華美というか、さながら大魔王降臨といったイメージの、4管編成の壮絶な音響の世界だ。「バーバ・ヤガーの小屋」で8本のホルンが兇暴に咆哮するあたり、なかなかのスリルである。
 これは、指揮者として「オーケストラの魔術師」と呼ばれ、また編曲者としても多くの華麗な作品を残しているストコフスキーの面目躍如たるものであろう。原曲のうちいくつかをカットして編曲しているところも、いかにも彼らしい。

 ――というわけで、日本フィルも大熱演。そのあとの本番は、きっとうまく行ったことだろう。

 ゲネプロ後、サントリーホールの会議室で日本フィルの平井俊邦専務理事による記者説明会が開かれ、懸案の公益法人認定に向け、今月1日に申請書を提出、書類が受理されたことが報告された。
 数年間の努力により、2億円の累積赤字の解消にあと一歩のところまで来ながら、事業仕分けや東日本大震災の勃発のため再び大きな打撃を蒙った日本フィルだが、演奏水準の向上と定期会員の増加への努力に加え、楽員たちの定昇・ボーナス停止や役員の給料カットなどの自助努力をも講じつつ、3ヵ年計画で債務超過を解消できるメドが立ち、その約束をもとに申請し、受理された、とのことである。
 公益法人移行には来年11月末までという期限があり、しかも赤字がある限り申請はできぬという内閣府のガイドラインもあるが、今回はそのような杓子定規の方針を適用することなく、良心的な法人には融通を利かせて解決して行こうという姿勢が当局に生れて来たのは、歓迎すべきことであろう。なお専門的な見地からの評論は、こういう問題の得意な渡辺和さんが取材陣に入っていたので、彼のブログで読めるのではないかと思うが。

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