2019-05

2・29(金)クリスティアン・アルミンク指揮新日本フィル

  サントリーホール

 冒頭に演奏されたヴォルフガング・リームの「変化」は2002年の作品。
 全曲(15分ほど)を緩やかで秘めやかな曲想を基本に織り成していく。オーケストレーションは彼らしく多彩で、1回聴いただけの印象では、それだけがこの曲を印象づけるといっていいかもしれない。
 現代作品をそれとなくプログラムに挿入して紹介するというのがアルミンク&新日本フィルの方針だ。この作品が紹介されたのはやはり、意義あることであった。

 2曲目はムソルグスキー~ショスタコーヴィチの「死の歌と踊り」。これが今夜最も感銘深い演奏だったといってよかろう。
 正直なところ、アルミンクと新日本フィルがこれほど暗く陰鬱な凄みを利かせた演奏をするとは予想外であった。オーケストラを抑制しながらも空間的な拡がりのある音を響かせ、陰翳豊かな不気味さを引き出す。しかも声楽パートを精妙に浮かび上がらせ、決して管弦楽の中に埋もれさせないのがアルミンクの巧みなところである。
 ソリストは、アニア・シリアの代役として来日したハノーファー生まれの若いメゾ・ソプラノ、カタリーナ・ピーツという人だが、これがすこぶるすばらしく、明晰な芯の強い声で悲劇的な迫力を表現してくれた。この歌曲集を実演でこれほど印象深く聴けたのは初めてである。

 最後はドヴォルジャークの第7交響曲。これはどうも、こちらの期待が大きすぎたか。演奏はきわめて念の入ったもので、柔らかい叙情感を強調するあまり策に溺れた感がなくもなく、それなりにまとまってはいたけれども、曲全体としてはこのアプローチは些か風変わりだ。しかし全曲最後の高揚の個所の和音は、神経の行き届いた演奏の総決算にふさわしく、美しく均整の取れたものであった。
   音楽の友5月号(4月18日発売)演奏会評

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