2020-02

11・4(日)ギドン・クレーメル 二重奏と三重奏

    サントリーホール  5時

 かたやポリーニ、こなたクレーメル。この2大巨匠が、同じ時期に同じサントリーホールで、それぞれの仲間と組んで多様なプログラムのシリーズを交互に行なっている。ゴージャスなものだ。

 今日はクレーメルの3日目。チェロのギードレ・ディルヴァナウスカイテ、ピアノのカティア・ブニアティシヴィリと協演しての室内楽である。
 最初のフランクの「協奏的ピアノ三重奏曲嬰へ短調作品1の1」は、滅多に聞けない曲で興味深かったが、少々重い。だが、次のフランクの「ヴァイオリン・ソナタ」、そして休憩後のチャイコフスキーの「偉大な芸術家の思い出のために」は、聴きに来てよかった――と思わせる見事な演奏だった。

 とりわけ後者は、ナマの演奏会で名演に出くわすことが極めて稀な作品だから、大いに堪能させられた。第2楽章後半での追い込みなど、息を呑まされたほどである。チャイコフスキーの「持って行き方」の巧さには毎度感心させられるが、これだって演奏が巧くなければ、その真価は発揮されない。
 しかも今日のトリオ、たとえば1つの楽器が主題を受け持つくだりになると、他の2つの楽器がサッと一歩も二歩も退いてそれを支える、その交替や交錯が実に鮮やかな呼吸で行なわれるのである。それゆえ、主題像が常に明確さを保ち、長大な曲ながら、最後まで散漫になることなく構築されて行く。

 クレーメルは相変わらずの「クレーメル節」で、その音色の独特の癖が気になることもあるが、並外れた風格と放射力は、やはり文句のつけようがない。チェロのディルヴァナウスカイテ(リトアニア出身)も、伸びのある音が良い。

 しかし何といってもブニアティシヴィリ(グルジア出身)の澄んだ音色と瑞々しく張りのある音楽性が出色の出来だ。時に他の2人を食ってしまうほどの活力と存在感を示して、実に素晴らしい。まだ20歳台半ばということだが、まさしく近来の大器であろう。
 この人、ソニーから出ている魅力的なショパン・アルバムには、クラシックのピアニスト離れ(?)した色気のある写真ばかり載っているし、「大型新人の美女」として、いろいろな意味で人気が出ているようである。

 アンコールにはスークの「エレジー」が演奏されたので、終演は7時40分頃になった。

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