2018-10

10・28(日)エリアフ・インバル指揮東京都交響楽団 マーラー「3番」

    東京芸術劇場  2時

 インバルと都響の最新のマーラー・ツィクルスが進行中。今日の「第3交響曲」での協演は、メゾ・ソプラノのソロが池田香織、合唱が二期会合唱団女声と東京少年少女合唱隊。コンサートミストレスは四方恭子。

 今日の演奏会は、オルガンの位置にある反響板を上げた(つまり外した)状態で行なわれていた。この形になると、オルガンに反響板をかぶせた時よりも残響は少し減り、音響がかなりクリアになる。
 その所為もあってだろうが、今日の都響の演奏は実に明晰に聞こえた。内声部の動きがくっきりと浮かび上がり、すべてのパートがリアルに、生々しく抉り出され、しかも均衡を失わずに響いて来る。胸のすくような、明快なマーラーであり、この交響曲に込められた「人間の自然的本性への信仰告白」が、極めて健康的な形で語られた演奏と言っていいかもしれない。

 最後の2つの楽章では、かなり速めのテンポが採られていた。第5楽章の「ビン・バン」は、一般の演奏に比べれば、疾風の如きテンポと言っていいほどだろう。
 また第6楽章も、普通行なわれるような壮大にゆっくりと盛り上げるタイプの演奏でなく、抑えかねた激情を迸らせるかのような激しい昂揚さえ中間部分に織り込まれる。弦楽器群も荒々しいほどのエネルギーを示す。
 かような速めのテンポの、やや慌しいエンディングは、マーラーの言う「すべてのものが安息の中へ解消する」のとは少し傾向を異にするし、私の好みとも違うけれども、まあ、それはそれでいいだろう。インバルの狙いは、「安息」などではなかったのかもしれない。

 今日はホルン・セクションも冴えており、第1楽章や第3楽章での咆哮はなかなかに壮烈なものだった。
 ソロ陣もすべて快調で、第4楽章ではそのホルンがオーボエの背後で見事な支えを聞かせていた。特にトランペットの1番を受け持っていた高橋敦は、第3楽章では舞台裏に回って素晴らしいポストホルン(フリューゲルホーンではなかったそうだ。お見事!)をも吹くという大わざを演じ、これは「詳し系」の聴衆の讃美の的となっていた。

 声楽陣では、池田香織が第4楽章で伸びのいい歌唱を聞かせたが、第5楽章での合唱だけは、テンポが速かったせいか、些か粗っぽくなったようである。
 だが、ともあれ今日の演奏は、このツィクルスにおける最初の大ヒットと言えるだろう。

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同感です

東条さん、全く同感です。今回も2日連続で行きましたが、2日間ともかなり早いテンポ。某巨大掲示板では、「サクサクマーラー」と揶揄されているようです。
この議論を聞いて、25年前、マーラーの大家「アンリ・ルイ・ド・ラ・グランジュ」がインバルのマーラーの速さについてコメントしたことを思い出しました。
①マーラー自身がトリスタンを振った時も同じことをいわれた
②インバルのマーラーは(テンポは速いが)、その激しさは、バーンスタインと違う激しさだ(例えば4番アダージョには偉大な激しさがある)
③インバルはマーラーに何も足さない、引かない。
偉大なフランクフルトの全集から25年を経て、今なお70代後半の高齢にも関わらず、
あの速いインテンポの中で、激しい表現を求め続ける彼の姿勢には、驚愕の念を禁じえません。
オケについても、今回のがんばりは見事だったと思います!個人的にはコルネット、ホルン、そしてソロでは池田香織に敬意を表したい。

以上インバルファンの全くの私見です。

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