2008-07

3・15(木)ドレスデン・リヒャルト・シュトラウス・ターゲ
 歌劇「アラベラ」

ザクセン・ドレスデン州立歌劇場

 昨年のバイロイトで感激したピエチョンカの歌うタイトルロールを楽しみにしていたのに、リイカ・ハコラというソプラノに替わっていた。容姿も好いし声も良いのだが、これからというタイプの人だろう。最初のうち声が伸びなかったが、それでも次第に改善されていった。彼女の声が出てきたためか、指揮者のペーター・シュナイダーがベテランの腕でオーケストラをうまく制御してくれたためか。最後のカーテンコールではブラヴォーももちろん出たが、ブーもいくつか飛んだ。
 だがウテ・ゼルビッヒのズデンカは悪くなかったし、特に最後に女性に戻ってからはの歌唱と演技は、主役のアラベラを食ってしまうほどの存在感を示していた。
 ヴォルフガンク・シェーネのマンドリーカは文句なしで、演技の面でもクマと格闘できるくらいの野性味をもほどほどに交え、大成功。

 ハンス・ホルマンの演出は、ごくまっとうで、可もなく不可もなしといったところか。この演出では、アラベラとマンドリーカはめでたく結ばれるが、ズデンカとマッテオは危ないらしいという解釈である。台本には確かにこの2人の行末についてはそれほど明確に語られているわけではないし、マッテオの言葉にもそれを具体的に示唆するものは無いのだから、彼が絶望とこだわりとをあからさまに示しつつ退場して行くこの演出も当を得ているだろう。
 ハンス・ホッファーの装置は、黒と赤を基調にして、暗い。第2幕のフィアカー舞踏会の場面では、階段を挟むようにして、恐ろしく大きな馬が3つ4つ。幕が上がった途端に客席もざわめいたが、1人早くもブーを飛ばした客もいた。1992年プレミエのプロダクションだから、そう新しいものでもない。

 最近好調のペーター・シュナイダーが指揮するこのオーケストラの音色は、昨日にも増して素晴らしい。私の聴いた席は、日本なら4階席にあたる場所で、音も少し硬く聞こえるはずなのだが、それでも並みのオケとは比較にならぬほどしっとりとして美しい。もし今、世界一良い音を出すオケを挙げろといわれたなら、ウィーン・フィルを凌ぐ存在として、私もこのドレスデン・シュターツカペレを挙げるだろう。

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