2019-05

9・29(土)エリアフ・インバル指揮東京都交響楽団のマーラー「復活」

    東京芸術劇場  2時

 リニューアルされた東京芸術劇場といえば、9月1日の読響の「復活」の時、効きすぎた冷房に閉口した記憶が生々しい。それゆえ今日は戦々恐々としながらホールへ赴いたが、ありがたいことに、空調は適正に調整されたらしかった。

 が、今度は、あの時は悪くないと思っていた椅子の「つくり」が、やたら気になり始めた。深く掛ければいいらしいが、それ以外の姿勢をとると、どうも座り心地がよろしくない。腰も痛くなる。
 帰りがけに、先輩の人間工学の権威である早大名誉教授N氏に出会ったので「あの椅子、どう思います?」と訊ねたら、「まあ普通の椅子だよ。悪いのは椅子じゃなくて、君の方だよ」と言われた。しかし、知人の何人かが、「何かちょっと座りにくいですねえ」と口を揃えて言っていたこともたしかなのである。もちろん「いや、別に」と気にしていなかった人もいたけれども・・・・。さて、如何なりや。

 のっけから音楽と関係のないことばかり書いたが、今日のコンサートは、インバルと都響の「新マーラー・ツィクルス」の2回目だ。協演は二期会合唱団、澤畑恵美(S)、竹本節子(A)。コンサートマスターは矢部達哉。

 前出の読響の「復活」を聴いた時には、弦の音色を含めたオーケストラの音がかなり硬く刺激的に感じられ、もしやこれは改修の影響か、と訝ったこともあったが、今日のインバル=都響の演奏をほぼ同じ位置で聴いてみた範囲では、幸いにそれほどでもなかった。冒頭のヴァイオリンとヴィオラのffによる激しいトレモロも、チェロとコントラバスのfffによる激烈な16分音符の叫びも、思ったよりまろやかな響きで伝わって来た。
 結局はオーケストラの鳴らし方次第である。それに今回は、最初は合唱団が奥に並んでいなかったために、ステージの響きもそれほど吸われずに客席に響いて来ていたのだろう。

 インバル、持ち前の強靭な構築力と均衡性を押し出し、しかも起伏の大きな指揮で都響を率いていたことには変わりないが、ただ今日の演奏にはいつものような強面な表情はさほど感じられず、どこか柔らかい、さらりとした語り口に思えたのは、こちらの気のせいか。
 全曲の終結近く、演奏がぐんぐん高揚して行って、Piu mosso、Pesanteと進むごとにテンポを少しずつ動かして行く(というように聞こえた)あたり、さすがこの呼吸は巧いものだな、と舌を巻くが、いわゆる忘我的な熱狂とか、身の毛のよだつような緊迫感が漲るというタイプの演奏ではない。聴き終わった瞬間に残るのは、凄い演奏だったなという印象ではなく、いい曲だなという思いである。

 都響は今日も立派な演奏。アルトのソロにはもっと安定感のある深みが欲しい。最後の頂点で叩かれるチューブベルはドライで素っ気なく、著しく感興を殺いだ。会場は超満員。
   音楽の友11月号 演奏会評

コメント

30日みなとみらいホールで鑑賞。「どこか柔らかい」のは、二階席のせい?ホールの特徴?と思っていました。すごく優しいのです。東条先生は均衡と、おっしゃるが、私には、やや単調。でも、マーラーの意図によるもの。
 当日台風のため、パンフレットが開演に届かず、帰りがけにいただきました。精神世界ような、深遠な思想を歌っているのですね。インバル氏のマーラーをという動機以外、予備知識がなかったのです。お経みたいで嫌いと以前は、感じていたのですが、いままさに、自身の希求するところです。
 冒頭、METのワーグナー、ラインの黄金のワンシーンが思い起こされました。ルパージュ演出の新居ヴァルハラ城に入場していくところ。不変を求めつつ破滅の忍び寄る、荘厳さ。そのようなイメージで、双方の鑑賞がつながりました。

翌日のみなとみらいに行きました。インバル都響の2番は、2回目。前回を思い出しながら、聴いていました。全体構成は、前回と変わらないものの、随所にマーラーの内面を浮かびださせるフレーズを強調するなど、より完成度を増したように思います。前回よりも、力みのない、肩の力を抜いた演奏で、個人的には、聴きやすかったです。しかし、後半は、金管とコーラスで復活の祈りを唱え、盛り上げていくところは、マーラーを知り尽くしている指揮者ならではと感嘆。しかし、終わってみれば、なにか心が温かくなったのに気づき、良演もいいもんだと感じました。

両日行った感想

率直に言って、30日横浜は29日よりも熱い演奏で、ブラボーも多かったです。29日は、インテンポで流すフレーズも多かったですが、30日では、デンオンの録音以来お馴染みの、絶好調の時の唸りが多く聞かれました。インバルの復活はフランクフルトの89年、都響で92年以来4回目ですが、インバルの演奏は毎回変わると改めて感じました。

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