2020-04

9・7(金)サイトウ・キネン・フェスティバル松本 20周年スペシャル・コンサート

    キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)  6時半

 今夏、三たび松本のSKFを訪れる。まだ蒸し暑い。
 「ガラ・コンサートともいうべき賑やかな演奏会が開かれた。今年は「オーケストラ・コンサート」が1公演のみだったことの埋め合わせの意味もあったのだろうか。

 コンサートでは、小澤征爾音楽塾オーケストラが、十束尚弘の指揮でフンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲を、ルドヴィック・モルローの指揮でラヴェルの「マ・メール・ロワ」組曲をそれぞれ演奏し、
 またスズキ・メソードの子供たちが、チェロ合奏でフォーレの「エレジー」を、ヴァイオリン合奏でメンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」のフィナーレとヴィヴァルディの「ヴァイオリン協奏曲イ短調作品3の6」の第1楽章を演奏、
 そして親分格のサイトウ・キネン・オーケストラがモルローの指揮で、ベートーヴェンの「コリオラン」序曲、プロコフィエフの「古典交響曲」、ベートーヴェンの「合唱幻想曲」を演奏した。

 この最後の曲には、ピーター・ゼルキン、SKF松本合唱団、SKF松本児童合唱団、天羽明惠、馬原裕子、松藤夢路、城宏憲、与儀巧、与那城敬も協演。
 更にその間には、長野朝日放送が制作した「映像で振り返るSKF松本の20年」という短い映画も上映されるという、盛りだくさんな企画である。
 これに、タングルウッド音楽祭からの小澤征爾への感謝の記念メダル贈呈セレモニー(ご本人は不在)、アンコールでは武満徹の「小さな空」(ピアノ、合唱、オーケストラ)も演奏されて、終演は9時半頃になった。

 指揮のルドヴィック・モルローはフランス生れで、現在シアトル響の音楽監督を務める由。東京フィルにも客演したことがあるとのことだが、私は今回初めて聴いた。
 ベートーヴェンの2曲を聴いた印象では、真面目で手堅く、きちんと音楽を仕上げるタイプの人のようだ。特に「合唱幻想曲」の終結近くでは毅然とした構築で演奏を盛り上げていたのが好ましい。
 一方、「古典交響曲」では前半クソ真面目で単調な指揮で、これではとても・・・と思ったが、第3楽章のトリオあたりからは別人のように活気にあふれた指揮となり、フィナーレでは躍動の演奏と化した。オケとの呼吸の問題もあったのだろうが、未だよく解らない指揮者である。

 若者による「小澤征爾音楽塾オーケストラ」は、演奏技術はきわめて高いようだが、何か慎重に構えすぎたという感。もう少し伸び伸びと演奏できるはずだろう。
 有名な才能教育のスズキ・メソードの子供たちはまさに強力軍団の迫力だが、――20~50人の同じ服装をした集団が、同じ方向を向き、同じ姿勢で一糸乱れぬ演奏をするという光景は、何か画一的なイメージが強すぎて、私はどうも苦手だ。

 最後に演奏された武満徹の「小さな空」は、ピーター・ゼルキンの、どんどん沈潜して行くようなソロのせいもあってか、あまりに美しく、しかし不思議な寂寥感を滲ませていた。それは、「夏の祭の終り」の寂しさか、はたまた、20年続いてきたSKFが、小澤征爾の度重なる降板によって大きな転回点の時期に来ているがゆえの、来年はどうなるのかなという一種の不安か――。
 わが国最高の音楽祭の一つであるこのSKFが、芸術面で一つの新局面を迎えていることへの感慨は、信濃毎日新聞(9月6日朝刊)にも寄稿したし、今日の朝日新聞松本支局からの取材にもコメントとして答えたばかり。

 但し来年のオペラは既に決定しており、ラヴェルの「子供と魔法」「スペインの時」の2本立てであるという話である。ラヴェルは、小澤征爾の十八番のレパートリーの一つだし、そう聞いただけでも、少しは安堵できるというものだが・・・・。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/1466-95a735c0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

お知らせ

●2007年7月以前のArchivesを順次、アップロード中です。併せてご覧下さい。
2007年7月
2007年6月
2007年5月
2007年4月
2007年3月
2006年7月

Category

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」