2008-05

2・13(水)ジョナサン・ビス・ピアノ・リサイタル

  東京オペラシティコンサートホール

 アメリカの若手、ジョナサン・ビスのリサイタルを聴く。
 先日出たベートーヴェンのソナタ集のCD(EMIクラシックス TOCE−56024)が鋭気颯爽として好感を呼ぶ演奏だったので、期待充分のものがあった。
 
 ベートーヴェンのソナタからは「悲愴」と「田園」が演奏される。ホールとピアノの関係もあってか、CDで聴くよりは響きが少し骨太に感じられたものの、「悲愴」第1楽章など実に快調に音階を駆け上がり、駆け下りるといった趣きの演奏になっていたのが、いかにも若いピアニストらしい勢いがあって微笑ましい。
 が、その2曲の間に置かれたヤナーチェクのソナタ「1905年10月1日、街頭にて」と、休憩後に置かれたシューベルトの第20番(D.959)のソナタでは、ビスの演奏は突然翳りを持つ音色に変わり、前者では悲劇感が、後者ではロマン的な曲想が浮き彫りにされて行く。作品ごとにこれだけ大きくアプローチを変化させることができるビスの実力は、なかなかのものである。作曲家の個性と正面から向き合い、それらを自己の中に率直に映し出そうとする真摯な姿勢が感じられて、ますます好感が持てる。

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