2019-05

1・30(水)ロジャー・ノリントン指揮シュトゥットガルト放送交響楽団

   サントリーホール

 聴きなれた名曲から、これまでほとんど気づかなかった「ウラの魅力」を引き出して示してくれるノリントンの解釈は、すこぶる刺激的である。彼がめまぐるしく繰り出すデュナミークの変化は、スコアには指定されていないものも多いのだが、しかし、そういう楽譜の読み方もあるだろうと納得させられてしまうほど自然で、面白いのである。

 特に2曲目のメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲はユニークで、クレッシェンドを大振りな表情で強調したり、ティンパニを固い音で目立たせたり、第2楽章では弦楽器群の8分の6拍子の伴奏音型を波打たせて演奏させたりと、趣向に事欠かない。
 しかもそれに合わせるかのようにソリストのジャニーヌ・ヤンセンが、すこぶる鋭角的で戦闘的な音楽をつくる。ノリントンが指揮する時には、彼の流儀にソリストも協力するというのがいつものことだが、ふだんと違ったスタイルに挑戦し、新たな実験を試みるという悦びがソリストの方にもあるのかもしれない。とにかくスリリングなメンデルスゾーンであった。
 
 後半の「英雄交響曲」は、もうおなじみのノリントン節。千変万化、変幻自在のデュナミークとテンポで全曲を進める。あの時代としては革命的で先端を行く作曲技法だった交響曲が、まさにそれにふさわしい姿で軋むような荒々しさで演奏される。かつてガーディナーが小編成のピリオド楽器オーケストラでこの曲を演奏したのを聴いた時には、大胆な和音がぶつかり合う革命的なスコアを再現するにはまさにこのような小編成のオーケストラで無ければならないと思ったものだが、今日ではこのノリントンとシュトゥットガルト放送響のように、大編成でも難なくそれを実現することができるようになったというわけだ。

 1曲目にはヴォーン・ウィリアムズの不思議な面白さを持つ「すずめばち」序曲が、いかにもノリントンらしい才気あふれる演奏で披露されたが、それに呼応したのがアンコールでのブリテンの「マチネー・ミュージカル」の行進曲。打楽器群が派手にとどろき、そのあとに軽快で洒落た音楽が続く。そして最後には、シューベルトの「ロザムンデ」間奏曲が懐かしい思い出を甦らせるように、この上なく美しく流れて行ったのであった。
  音楽の友4月号演奏会評

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