2019-07

2・12(日)METライブビューイング
「エンチャンテッド・アイランド(魔法の島)」

   東劇(銀座) 7時

 1月21日にMETで上演された舞台の映像。これはユニークなオペラで、面白い。

 いわゆるパスティーシュ――いろいろなオペラから音楽を抜いて来て、1本の新しいオペラとして組み合わせ構成するという手法によったものだ。
 今回のこれはヴィヴァルディとヘンデルの作品を中心に、ラモーやパーセル他の音楽も若干加えられている。その選曲も配列も全く違和感なく、完璧に繋がっていて、場面にもぴったりで、まるでこういう音楽のオペラが初めから存在していたかのような印象を与えるところが凄い。

 考案と台本制作はジェレミー・サムズという人だが、選曲と構成を本当はだれが中心になってやったのか、インタビューなどでもみんな「俺が俺が」という調子なので――いずれにせよ、複数の人々の協力によるものだろう。歌手(デイヴィッド・ダニエルズら)も参画して意見や希望を出して行った、というのも確からしい。

 ストーリーは、シェイクスピアの「テンペスト」を基本に、その人物設定を少し変え、さらに「夏の夜の夢」に登場する2組の夫婦を参加させ、いっそう騒ぎを大きくするというコミカルなもので、当然めでたしめでたしで終る。
 先日の「サティアグラハ」も手がけていたフェリム・マクダーモットの演出が解り易く秀逸だし、ウィリアム・クリスティの指揮が快調だし、歌手陣もいいし、というわけで、観ていて肩が凝らず、愉しい。

 その歌手陣では、最も生き生きして愛らしいのが、妖精アリエルを歌い演じたダニエル・ドゥ・ニース。彼女の躍動感がこの舞台を華やかにしている。インタビューでは、シェイクスピアの原作におけるアリエルと「夏の夜の夢」のパック、それに「ピーター・パン」のティンカーベルを参考にして役作りをした、と語っていたが、実に達者で魅力的である。

 プロスペローを歌ったデイヴィッド・ダニエルズも良かったが、魔女シコラクス(この物語では生きている設定)を歌ったジョイス・ディドナートが更に見事な役者ぶり。
 その息子で、ちょっと可哀相な役柄設定のキャリバンを歌い演じたルカ・ピザローニも、哀れさを見せて巧い。
 そしてネプチューン(海神)役はプラシド・ドミンゴ。ちょっと顔見せ的な感じにとどまった向きもあるが、まさに貫禄充分。

 ここでも咳が止まらないので、仕方なく第1幕が終ったところで失礼してしまった。この映像は、「朝日カルチャーセンター」での関連講演(9日)準備のため、事前にDVDで入手して詳しく見ていたからでもある。

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