2020-07

1・25(水)上岡敏之指揮読売日本交響楽団のマーラー「4番」他

    サントリーホール  7時

 上岡のマーラーは、先年の「アダージョ」(第10交響曲)での鮮烈な演奏の記憶がいまだに生々しいが、今回の「4番」のように「さほど悲劇的ではない」作品では、さすがにそこまであざといことはやらない。

 しかし、声部の一部を強調して浮彫りにしたり、ハーモニーのバランスを変えたり、ソロ楽器の音色を殊更ユニークに強調したりして、聞き慣れない響きをオーケストラから引き出すといった個性的な解釈は、相変わらずだ。

 とはいえ、第1楽章は、予想外に端整なつくりだった。
 いわゆる変幻自在のテンポによる揺れ動く世界といったイメージでなく、何かブロックごとにがっちりと音楽を構築し、それを大きなリタルダンドで一つずつ終結させながら、各部分を有機的に接続して行くといったような――何とも要を得ない言い方で申し訳ないが――そんな印象を得た。
 これは、別に悪い意味で言っているわけではない。ただ、私が好きな、音楽が揺れながらしなやかに流れて行くというような感じの第1楽章ではなかったのは確かである(昔、クーベリックがこういうタイプの演奏をしていたのではないかしらん? 一寸記憶が曖昧だが)。

 圧巻だったのは、全曲の頂点ともいうべき第3楽章。たっぷりとして耽美的で、濃厚である。
 しかもマーラーの譜面に基づき、ポルタメントやグリッサンドの域を遥かに超えた時間の長さで弦の音をずり上げたり下げたりして行く手法を、上岡はこの曲でいやが上にも強調して目立たせていた。少々作為的にやりすぎという感はしたけれども、それは他にここまでやる指揮者は滅多にいないからである。かのメンゲルベルクでさえ、これほどあからさまにはやっていなかった。マーラーのエクセントリックな音楽を象徴させるという意味では、それも悪くなかろう。

 第4楽章でのソプラノはキルステン・ブランクという人。欧州では大活躍らしいが、この日はかなり不安定。

 なおプログラムの前半には、モーツァルトの「交響曲第34番ト長調K.338」が組まれていた。こちらはいっそう端然とした演奏。

    音楽の友3月号 演奏会評

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