2020-04

1・21(土)池辺晋一郎の最新作オペラ 「高野聖」東京初演

    新国立劇場中劇場  3時

 泉鏡花の原作(明治33年)を小田健也が脚本・演出、池辺晋一郎が作曲、大勝秀也が指揮、オーケストラ・アンサンブル金沢が演奏。
 12月9日に金沢歌劇座で初演され、同12日に高岡で上演されたあと、今回21日・22日の東京での上演となった。主催は日本オペラ振興会および金沢芸術創造財団――とクレジットされている。

 ある修行僧が飛騨の山奥の天生(あもう)峠の孤家(ひとつや)で遭遇した怪奇な美女との相克ともいうべき物語だが、小田の演出と倉本政典の舞台美術が如何にも日本の民話的で耽美的な怪談らしい雰囲気を感じさせ、愉しめる。
 美女の魔力により獣に化身させられながらもなお彼女の胸に絡みつこうとする猿や蝙蝠――ここは原作でも有名な場面の一つだ――などは、小道具として、舞台上に並ぶ魑魅魍魎の合唱の動きの助けを借りて巧みに活用される。こういうところも日本のオペラらしくて、悪くない。

 歌手陣では、上人(僧)役の大間知寛がほぼ出ずっぱりで活躍、沢崎恵美も日本女性らしい所作で妖艶な美女としての責任を果たした。親爺役の井上白葉、薬売り役の和下田大典といった歌手たちも、日本のオペラを演じ歌う時にはすべてサマになっている。

 池辺晋一郎にとっては、これが「鹿鳴館」に続く10作目のオペラに当るそうだ。
 彼のオペラによくある叙情的な色合いにあふれた作風で、怪談だからといって怪奇な雰囲気を出そうというのではなく、むしろ耽美的で幻想的な要素を浮彫りにした音楽である。
 オーケストラは2管編成だが、もし弦楽器の数がもっと多ければ、更に官能的な色彩が増すのではなかろうか? 

 20分の休憩1回を挟んで終演は6時。音楽に殊更大きな起伏がないので、後半はやや長さを感じさせ(これは演奏にもよるだろう)、もう少し端折ってもいいのではないのかと思わせるけれど、――さりとてものの哀れを滲み出させる上人や美女のモノローグ、それにエピローグなど、いずれも必要なもので、カットするわけには行かないだろう。

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