2019-07

1・20(金)ダニエル・ハーディング指揮新日本フィル マーラー「9番」

    すみだトリフォニーホール  7時15分

 ハーディングが新日本フィルへの客演の際にいつも示すストレートなアプローチ。
 だが同じストレートでも、これまでとはもはや全く別の様相を呈している。

 過去何回かの客演での演奏は、彼がマーラー・チェンバーを振る時とは正反対の――冒険を避けた安全運転の、むしろ平凡な演奏というに等しいものであった。あたかも、新日本フィル相手ではあまり凝った細工をしても無理だろうと――まさかそうは思っていなかったろうが、そんなことをこちらに勘繰らせるくらい、「何もしない」タイプの演奏だったのである。

 だが、そのハーディングと新日本フィルも既に客演を重ねて、今やついに両者の呼吸がぴったり合致する段階に到達したのかもしれない。
 今日のマーラーの「第9交響曲」での、全曲に満ちあふれた堅固で見通しのいい構築、強烈な緊張感、精妙に織り上げられた緻密な音の均衡は、ただものではなかった。これまではついぞこの両者の演奏からは聴けなかったものであった。
 楽曲の構造を殊更に細工したり誇張したりしなくても、ハーディングはこれほど強靭な音楽を創れるのだ――ということを見事に証明した指揮だったと言ってよかろう。

 新日本フィルの演奏も傑出していた。この日はホルンが不調で、再三にわたり高貴な瞬間に水を差したという残念なことはあったけれども、それを別とすれば、絶好調の時に聴かせる水準の演奏だった。
 特に、豊嶋泰嗣をリーダーとする弦楽器群の音色は素晴らしい。第1楽章冒頭から清澄な音だなと惚れ惚れするくらいだったが、あの全曲最後の長い最弱音の個所では、澄み切った明晰な音色が最後まで途切れることなく、限りなく透明な美しさの裡に結ばれて行ったのであった。

 ハーディングと新日本フィルの共同作業について、私にはこれまで多少の疑問や不安もあったのだが、今回の見事な演奏を聴いて、どうやらそれも雲散霧消したような気がする。

コメント

土曜日の公演に行きました。論理性の幾重にも重なった良い演奏でした。
 確かに、<<堅固で見通しのいい構築、強烈な緊張感、精妙に織り上げられた緻密な音の均衡>>による<<安全運転>>と思います。

 しかし、サントリーホールでやると、同じ演奏をそのままの質感・量感を保ったまま、ぐっと違った温かみのある音色になったことでしょうね。私はそう思いながら聴いていました。

 また、全体の中で、もっとも印象的だったのが、終楽章の本当の最後の部分の2・3分。弦楽合奏が、譬えていうなら、総譜は晩年の作品でも、出した音色は、<赤ちゃんの肌を触る温かみが、冷たい肌へと変化していく>ようにも、思っていました。

 よって、細かい指示が全編に貫いているのだろう、明確に感じられる演奏でした。
*******************************
 3Fの真後ろで聞いているのですが、折角時々、来ているのだから、リハ中に、真後ろで、ハーディングが自分のサウンドを聴いてくれたら、よりグッと改善するでしょう。

 トリフォニーのプログラムとサントリーのプログラム、どこかでもう少し、それぞれのホールの良さの引き立つプログラミングになればなあー。と思っています。
11月のメッツマッヒャーもそう、思いました。来シーズンのプログラムもそういうのが多いような。

けど、論理の行き届いた、体調が最善でないと結構つらく眠くなる演奏だったけど。良い演奏だったことには違いない。

今週は、マーラーの第9、インターネットでは、Rattle/BPO。ギルバート/NYP。の2つが聴ける。

ハーディング/新日本フィルの良さ、もあるよ。真面目に。。。。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/1276-adb69252
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

お知らせ

●2007年7月以前のArchivesを順次、アップロード中です。併せてご覧下さい。
2007年7月
2007年6月
2007年5月
2007年4月
2007年3月
2006年7月

Category

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」