2019-05

1・24(木)ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 NHK交響楽団

  サントリーホール

 前半にクリスティアン・ゲルハーヘルをソリストに迎えてのマーラーの「さすらう若人の歌」、後半にシューベルトの「ザ・グレイト」。

 若い指揮者や、気に入らない指揮者の時には露骨に気のない演奏をするN響も、ブロムシュテットのような高齢の指揮者に対しては流石に真面目にやるらしい。ただ、昨日の生中継を聴いた時には実に美しい演奏だという印象だったが、2日目の今日は少し「狎れ」が出たのか、あるいは勢いに乗りすぎたのか、「ザ・グレイト」第1楽章後半や第4楽章では粗さも感じられた。
 とはいえ、技術的には完璧でも表情のない演奏をするN響よりは、少し荒っぽくても「乗った」演奏をするN響の方が、なんぼいいかしれない。

 ブロムシュテットの指揮というのは、昔からそれほど深い味を感じさせるタイプのものではない。私などはそこが不満で、彼に対してある程度の距離を置いてきたものだった。
 だが、スコアに指定されたデュナミークの細かい変化への配慮や、クライマックスへのもって行き方の巧さなどには、時に魅力的なものもある。反復個所がすべて忠実に守られた今日の「ザ・グレイト」で、私はその長さに退屈させられるところは全くなかったし、特に第3楽章トリオでは、あの揺れ動く主題とハーモニーの美しさに、久しぶりに快さを味わうことができたのも事実であった。

 感心させられたのは、むしろ「さすらう若人の歌」の方。
 ゲルハーヘルの歌唱からして、師匠フィッシャー=ディースカウ譲りのきわめて精妙な心理描写力を備えていて、たとえば第1曲では「愛しいあのひとが嫁いでいくとき・・・・」を極度な憧れと慟哭とが入り混じった表現で歌い出したあと、「碧い花よ、萎れずにいてくれ」の一節にいたって現実から逃避するかのように表情を変えるあたりの巧さなど見事なものだが、そのあたりの感情の動きを描くブロムシュテットの指揮も、すこぶる雄弁であった。
 ただ一つの問題は、ゲルハーヘルが多用する魅力的なソット・ヴォーチェは、ここサントリーホールの大きな空間にはあまり向いていないのではないか、ということ。
 

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