2019-08

1・14(土)ウクライナ国立オデッサ歌劇場 ボロディン:「イーゴリ公」

    オーチャードホール  4時

 ウクライナ国立のオペラと言っても、先頃来日したキエフのオペラとは別の、こちらはオデッサのオペラ。来日プログラムの表紙に掲載の英字タイトルは、Odessa National Academic Theaterとなっていた。今回は「トゥーランドット」と、このボロディンの「イーゴリ公」を携えて来ている。

 上演に使用されたのはリムスキー=コルサコフとグラズノフがまとめた版で、つまり伝来のスタンダードな版ともいうべく――プチーヴリの広場(イーゴリ公の出征)、ガリツキー公の館、ヤロスラーヴナの居室の場、ポロヴェッツ軍の野営の陣地、プチーヴリの町(イーゴリ公の帰還)――という5場面からなる構成である。

 「ポロヴェッツ陣地からのイーゴリ公の脱走」は通例によりカットされているが、その他にもあちこちカットは行なわれており、たとえば最終場面でのヤロスラーヴナのアリアはほとんどカット同然の状態、といった具合だ。
 まあ、ボロディンの作曲した部分が断片にとどまっているため、原作というものはあって無きが如きオペラだから、10の上演があれば10の異なった版が出来るというのは、ある意味では仕方がない。

 演出は、意外にもスタニスラフ・ガウダシンスキーだった。彼はミハイロフスキー劇場(旧マールイ・オペラ)に来る前、短期間だがこのオデッサ・オペラの芸術監督を勤めていたことがある。ただ、この舞台を見る限り、彼の演出に必ず備わっている詩的なイメージがあまり感じられず、彼の意図がどの程度まで正確に反映されていたかは、疑問ではある。
 さしあたり大雑把に言えば、ロシア・オペラの伝統的な演出に属する、ごくありふれたスタイル、と言ってもいいだろう。舞台装置もシンプルな書き割を使ったものだが、そこそこの雰囲気は出ている。

 イーゴリ公を歌ったアレクサンドル・ブラゴダールヌイも強力だったが、コンチャク汗のあの超低音をはっきりと響かせたウラジーミル・グラシェンコも、なかなかの声だった。ガリツキー公のセルゲイ・ザムィツキーも馬力がある。イーゴリ公夫人ヤロスラーヴナを歌ったアーラ・ミシャコワも、明晰な声で男声陣と張り合っていた。
 この4人さえしっかりしていれば、まずこのオペラの歌手陣は安泰といってもいい。

 指揮はユーリイ・ヤコヴェンコという人で、たんたんと、委細構わず(?)素っ気なく振る。各幕の最後の音を、幕が降り切るタイミングに合わせて引き延ばすくらいのことはやってもいいと思ったのだが・・・・。
 しかし、オーケストラもかなり優秀なので、このオペラの音楽の野性味を堪能するには過不足の無い演奏ではあった。
 「ポロヴェッツ人の踊り」の場面も、ダイナミックな雰囲気は充分。これなら楽しめる。

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