2019-08

12・1(木)METライブビューイング ワーグナー「ジークフリート」

   東劇(銀座)  4時半

 これも先月5日、この映像収録と同じ日に現場で観たものだ。しかし、映像で観れば歌手の演技の微細な部分が愉しめるし、幕間に織り込まれている演奏者たちへのインタビューも大いに参考になる。

 事実、第3幕でエルダやジークフリートを相手に繰り広げるブリン・ターフェル(さすらい人)の凄味を利かせた顔の表情は、とても歌劇場の客席からは窺い知れぬものだった。また、そのジークフリートを歌ったジェイ・ハンター・モリスも、あのMETの客席から観たよりも遥かに爽やかな表情の演技をしていた。

 ルネ・フレミングの手慣れたインタビューで引き出される話も面白い。急遽起用されたその「シンデレラ・ボーイ」モリスが、最近までセントラルパークその他でスポーツ用品を売ったりチラシを配ったり(というバイトを)していた、なんていう話は微笑ましいし、先輩の忠告に従い「無理に大きな声では歌わない」ことにしているという話も、彼のジークフリート表現の一端を理解させてくれる。
 別に舞台スタッフからは、例の物凄い舞台装置のマジックについての説明があったが、これも信じられぬほど高度なテクニックの活用であることが解って参考になる。

 ファビオ・ルイージの指揮は、録音で聴いてもやっぱり微温的でもどかしい。だが、第3幕からの――厳密に言えば第2幕の終わりの部分からの――ワーグナーの神髄が詰まった音楽は、演奏の如何にかかわらず、何度聴いても素晴しいものだ。

 何人かの方から「お前の顔が開演前の客席で映っていたぞ」と冷やかされ、あれほどカメラの位置には注意していたのに不覚を取ったかとホゾを噛んだのだが、ナニ、今日恐る恐る見たら、顔の上半分がチラリと映っていただけではないか。あれに気がつくなんて人は、相当な慧眼(?)だ。
 ドイツのさる音楽ジャーナリストのように、コンヴィチュニー演出の「神々の黄昏」終場でカメラが客席を舐めた時に、感動のあまり涙を流している顔を大写しにされ、そのビデオをラッシュで観て慌てたという人よりは、はるかにマシであろう(ただしそのテイクは最終的には使われなかった)。それにしても、危ない危ない。

 なお、今日の映像で見ると、開演前のルネ・フレミングによる案内は、後方のパルテレ(2階)かグラン・ティア(3階)の客席で行なわれていたらしい。
 実は当日、開演直前に後ろの方でペラペラと何か喋り続けている女の声が耳に入り、オペラが始まるというのにまだお喋りをしているのか、うるさいぞ、という調子で観客の何人かが振り向いた。私も気になったのだが、ただその声の最後が「Here is SIEGFRIED」と非常にテンポよくタイミングよく結ばれたので、ははァこれは放送の音声が漏れたか、あるいはその放送をだれかが客席で受信していたのかな、と思っていたのである。まさかあれがフレミングのナマの声だったとは知らなかった。

 9時40分終映。長い。
 

コメント

僕は新宿ピカデリーで、観ました。会社のごたごた、収束してくる気配が見えこそすれ、<恐れを知らない>ことやってしまって。沈黙を守って対処しているから、恐ろしくストレス溜まっていたから、1幕目は爆睡。

人を大切にしておいて損することはないですね。

<自分が一番だ>と思っている人ほど、<恥をかくのも一番だ>を受け入れないと、物事の調和がとれないです。このジークフリートの対立構造、一番になりたがることと同じこと。

このジークフリートは、ワルキューレを別個としてみたら、物事の調和の礎の翻弄される一つの安息。けど、ジークフリートの純粋さが、ミーメを殺害することと人を愛することを覚えたことで、悲劇へと突き進むのであって。


<<ジークフリート>>も、みんな男のエゴイズムの集積なんだけど、ここの男の人物設定たちは、<恥をかくこともよく知っている>。そうはいってもさりげない純粋な安息の場。男っ気中心の展開だから、疲れているときに観る作品とはいえない。

映像 からしか知らないけど、METは、ちょっと行く気がしない。(海外旅行として)

1000人から1700人程度の劇場なら、行ってもいい。今、興味あるのは、フランクフルトのVera Nemirova。そうはいっても、お古のゲッツ・フリードリヒ観たい。

思いついたこと、ランダムに投稿して。

この投稿できるこの時間、やはり仕事で疲れているから、新日本フィルの定期。前半だけ聞いて帰ってきたから。本当に精神的に。どれだけ、買ったコンサート・オペラ・国立演芸場の寄席のチケット多かったことか。

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