2020-04

11・25(金)シルヴァン・カンブルラン指揮読売日本交響楽団の「海」特集

 サントリーホール  7時

 「海」に因んだ作品が4つ。メンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」、ショーソンの「愛と海の詩」、ワーグナーの「さまよえるオランダ人」序曲、ドビュッシーの交響詩「海」。

 この中で「海」は、カンブルランと読売日響の今年の演奏の中でも、ベストに挙げていいものだろう。昨年春のシェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」に匹敵するか、あるいはそれを凌ぐ演奏かもしれない。
 特に今夜は、金管群(特にトランペット)の快調さが光る。それだけでなく、オーケストラ全体が見事な均整美を示していた。

 それに次ぐのは、ショーソンの「愛と海の詩」である。
 メゾ・ソプラノのソロ(林美智子)については、このようなまろやかな声よりも、透き通った声質で歌詞も明晰に聞こえる歌手の方が作品の性格と今夜のオケには合っているのではないかという気もするのだが、まあそれはそれ。
 だが、カンブルランが読響から引き出した音はまさにショーソンそのもの、昔レコードで聴いてはうっとりしたショーソンの、あるいは海の雰囲気がモロに伝わって来るような演奏で、私自身は懐かしい記憶が蘇るような陶酔感を味わった。彼の指揮で、ショーソンの「交響曲」を聴いてみたい。

 他の2曲は、弦の内声の交錯が実に美しかったし、最強奏での力感などもなかなかのものだったが、テンポがやや重たかったような気もする。カンブルランは時々こういうテンポを採ることがあるが・・・・。

 それにしてもこれらは、カンブルランと読響の好調な証を如実に示した演奏だったといえよう。昔は奔馬のようだったあの読響が、フランスものをこのようにニュアンス細かく演奏できるようになったのだから、めでたいことである。
 なお今夜はゲスト・コンマスとして長原幸太がリーダーを務めた。そのせいか、コンマスがあとからもったいぶって出て来るのが1曲目の前だけで済んでいたのはありがたい(読響はいつも休憩後の第2部の開始時にもそれをやるが、いちいちごたいそうなことである)。

コメント

先日の東響(シェーンベルク、フォーレ)、今回の読響、最近の在京オケは凝りに凝ったプログラムでやってくれるので、目が離せません。ショーソンは実演では滅多に聴けない曲ですので駆けつけました。精緻でしっとりしたオケとやや濃厚な林さんの歌唱との組み合わせが絶品。“海”は「北斎の浮世絵に霊感を得て書かれた海の描写音楽で…。」等と紹介されることが多い曲ですが、実はいわゆるドイツ音楽以上に対位法的に緻密に書かれている曲である、という事実を改めて想起させてくれるようなカンブルランの演奏でした。

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