2020-04

11・18(金)ダン・エッティンガー指揮東京フィルハーモニー交響楽団
11月定期公演「マンフレート・グルリットを偲ぶ」

    サントリーホール  7時

 第2次大戦前後の時代、わが国の指揮界に大きな功績を残した故マンフレート・グルリットが日本初演したオペラから何曲かを集め、彼自身の作によるオペラからも一つ選んでプログラムを組んだ大規模な「グルリット記念ガラコンサート」。
 終演も9時50分頃になったが、これはステージ転換に時間を要したせいもある。

 演奏されたのは、ワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲、「ローエングリン」から「エルザの大聖堂への入場」、「タンホイザー」から「大行進曲」。
 次にR・シュトラウスの「サロメ」から「7つのヴェールの踊り」、「ばらの騎士」の第2幕と第3幕の抜粋、「アイーダ」から第2幕の二重唱以降最後までの全部。
 これらはすべて、グルリットが指揮して日本初演したオペラである。
 そしてその「アイーダ」の前に、グルリット自身のオペラ「ナナ」の第1幕の抜粋が演奏された。相当な重量感だ。

 演奏者陣も、横山恵子、吉原圭子、井坂惠、中島郁子、児玉和弘、高田正人、福井敬、萩原潤、村林徹也、山下浩司、ジョン・ハオ、東京オペラシンガーズ――と賑やかなもの。

 エッティンガーの指揮はむしろ几帳面で手堅いもので、ワーグナーの3曲など、もう少しハッタリを利かせたエンディングを使えばいいんじゃないかと思ったくらいだ――「大行進曲」では、せっかく見事に盛り上げて行きながら、最後の決めの高音の前にあんなに思い切りパウゼを作ったのでは、聴いている方もガクンと来てしまう。
 その点、やはりR・シュトラウスとグルリットの作品が、音楽のロマン的な叙情味を巧みに出した雰囲気のある演奏だったといえよう。

 グルリットのオペラは、かつてゲルト・アルブレヒトが読響を指揮して日本初演(演奏会形式)した「ヴォツェック」がわれわれに強烈な印象を与えたものだ。今回の「ナナ」はそれに比べると若干甘い(ところだけ聴いたのかもしれないから、迂闊な事は言えない)が、パリの劇場の洒落た世界を重々しく厚い管弦楽法で描くあたりには意外な面白さがあり、断片なりとも彼の芸風を聴けたことは大いなる喜びであった。

 グルリットの指揮を私がナマで聴けたのは、オペラでは「マイスタージンガー」(日本初演1960年)と「サロメ」(同62年)、「タンホイザー」(66年)など、またラジオで聞いて記憶に残っているのはベートーヴェンの「第7交響曲」など、ほんの僅かに過ぎない。
 「ベト7」など度外れた超遅テンポで、当時のわれわれ悪ガキどもは罵倒したものだが、今思えば微笑ましい。
 「マイスタージンガー」などはカットに次ぐカットがありながら、6時開演で11時半過ぎ終演という、当時としては物凄い上演だった。お客は途中でゾロゾロ帰ってしまい、われわれは最初に買った安い天井桟敷の席から次第に降りて来て、最後の頃には2階前列正面の最高価格席に座って愉しんだものであった。

 なお今日はプレトークで、岩野裕一・片山杜秀両氏による「浅草オペラ隆盛期」についての話があった。なかなか興味深かった。
 古い掘り出し音源の紹介も面白かったが、藤山一郎が歌っている「ローエングリン」の「王の布告官」役など、なかなか聞けないものだろう。彼は東京音楽学校出のクラシック畑出身だが、「ローエングリン」と雖も、歌のスタイルは「青い山脈」や「丘を越えて」とやはり共通しているのは否めない。
 余談だが、かつてテレビのバラエティ番組で植木等が「第9」のバリトンのパートを歌っているのを聞き、その上手さに仰天したことがあるが・・・・。
 

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