2020-04

11・11(金)アレクサンドル・ラザレフ指揮日本フィルハーモニー交響楽団
(ラフマニノフ・ツィクルス 第1回)

 サントリーホール  7時

 9日に行われた記者会見でラザレフは、ラフマニノフのあまり取上げられることのない「第1交響曲」の演奏について、自信満々の所信を述べたそうである。
 なるほど今夜の彼の指揮と、日本フィルの演奏を聴いて、たしかにそう公言しただけのことはある、と思った。

 何しろ、ラザレフ節の炸裂だ。音楽の力感が物凄い。22歳の青年ラフマニノフが持っていた荒々しい気魄と、傍若無人の覇気とを浮き彫りにし、それらを凶暴とも言えるほどのエネルギーで噴出させて行く。

 第4楽章における激烈な曲想と、放縦なほどの形式感――それが初演当時に先輩音楽家たちを呆れさせ、彼らをして「ラフマニノフこそは地獄の音楽院の優等生」と酷評せしめた一因であったことは想像に難くないが、ラザレフはそれをいやが上にも強調し、若き作曲家の「アンファン・テリブル(恐るべき子供)」的な特質を前面いっぱいに押し出した。

 しかし、その狂乱怒号の中にあっても、ラザレフはリズムを些かも崩さず、またアンサンブルにも厳しい均衡を保たせたまま、オーケストラを躍動させ、歌わせ、自在に制御して行く。このあたりはまさに、彼の近年の卓越した力量を示すものだろう。その一方、中間2楽章では、くぐもった音色の哀愁感に、ちょっとした軽快な諧謔を滲み出させる。

 ともあれここまで――多少強引ではあるけれども――オーケストラを鼓舞できる指揮者は、そうそういるわけではない。
 日本フィルも、よくぞあそこまでラザレフの要求に応えて鳴り渡ったものだと感心する。大音響はこのオケのお家芸だが、それが昔のように滅茶苦茶な「破れ太鼓」のようなものにならず、バランスのいいアンサンブルになっているのが有難い。何度も繰り返すようだが、3年ほど前までとは、今や別のオーケストラのようになっている日本フィルである。

 なおプログラムの前半には、ショパンの「ピアノ協奏曲第1番」が、岡田博美をソリストに迎えて演奏された。いろいろな意味で、手堅い演奏である。

     ⇒音楽の友新年号 演奏会評

コメント

ラフマニノフ1番、本当に感動しました。日フィル、決して荒れることのない素晴らしい演奏を聴かせてもらったと思います。ラザレフさんは本当に素晴らしいです。

Re:

最近観客も増えている印象。演奏が良くなってきた結果の表れでしょう。
これで「とりあえず客は入るが音を荒らす指揮者」との決別も近い!?

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