2020-04

11・5(土)MET ヴェルディ:「ナブッコ」

 メトロポリタン・オペラ  夜9時

 長い長い「ジークフリート」をたっぷり体験したあと、3時間半の空きがあるとはいえ、もう一つオペラを観るのは、体調が万全ならともかく、未だ時差ボケも完全に直っていない身には少々重い。
 しかし、この「ナブッコ」は、何年か前にここで観たことがあるイライジャ・モシンスキー演出の「娯楽的」なものだし、曲想も賑やかな作品だし、気は楽だ。

 このプロダクションは、ジョン・ネイピアの豪壮な回転舞台装置が売り物だ。
 以前観た時には、ナブッコ(ナブコドノザール、ネブカドネザル)率いるバビロニア軍がイェルサレムのソロモン神殿に攻め込んで来る場面で、巨大な戦車のようなものが神殿の扉をバリバリと押し破って突入して来る光景が凄いなと思ったものだが、今回はその趣向が無く、ただ兵士が行進して入って来るだけだった。あれだけぶち壊しては修理も大変だと、流石のMETも制作費の都合で仕掛けを変えたのかしらん。つまらない。
 しかし、そのあと神殿に火が放たれるところがあって、・・・・これは以前の上演でも行なわれていたか、それともなかったか。

 配役は、ナブッコにゼリコ・ルジッチ、奴隷女アビガイッレにマリアンネ・コルネッティ、ヘブライの高僧ザッカリアにドミトリー・ベレッセルスキー(METデビュー)、イェルサレム王の甥イズマエーレにアダム・ディーゲル、ナブッコの娘フェレーナにエリザベス・ビショップら。
 私にはあまり馴染みでない歌手たちも多かったのだが、みんな大変な実力派だ。力強く明晰に歌うし、表現力も豊かで、聴いていて手応えがあり、実に気持がいい。コルネッティはマリア・グレギーナに表情も少し似ていて(ただし彼女ほどの迫力はない)、第2部の至難なアリアも馬力充分に聴かせていた。

 しかし何よりも、演奏の成功の大半は、指揮者パオロ・カリニャーニに帰せられるのではないかと思う。
 この人の指揮には、胸のすくような歯切れよさと、引き締まった構築力と、畳み込みの巧さがある。「ナブッコ」の音楽があまり騒々しくなく、しかもドラマティックに、緊迫感豊かに聴けたのは久しぶりであった。疲れもいつしか吹き飛んだ。

 30分の休憩1回を含み、終演は午後11時45分。今回の席が通路際なので、内側から「早く立ち始めた」客を防ぎ切れず、こちらも早々に席を立ち、出口付近で拍手を継続。早く立ちたがるのは、大勢一緒になると実に時間がかかるからだと理解。「西洋人」たちは、ベラベラ話しながらのんびりゆっくり歩くから、ちっとも進まないのだ。

 ホテルに戻れば午前0時を過ぎる。翌日朝に空港に向かわなくてはならないスケジュールだと、これはかなりきつい。
 しかし偶然にも、翌6日は11月最初の日曜日に当たっており、午前2時を以ってサマータイムは終わり、冬時間に戻る。それゆえ、1時間は余計に眠れるので有難い。
 部屋には支配人からのメッセージがあり、「貴殿の部屋に備え付けの時計は午前2時を以って自動的に午前1時に戻るよう調整されている。したがって貴殿はご自分の時計のみを時間に合わせられたい」と親切に書いてあるので、ホホウ流石にサマータイムの権威USA、行き届いたものだと感心する。
 ところが実際には、翌朝になっても、ベッドサイドの時計は前日と同様、夏時間のままで動いているのであった。天下のヒルトン・ホテルにしては、抜けている。

      ⇒3日~5日分 音楽の友新年号

コメント

メット編全部拝読ニャリ。演目も文章も、ともに、凄い量だニャ。お疲れ様でした。今頃伸びとるだろニャ・・・。ところで、サマータイムの時計のお話、笑えるニャり。メッセージまでわざわざあったのに切り替わらんとは、あんまりニャリ~!(笑)

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