2008-05

1・13(日)コウト指揮プラハ交響楽団「わが祖国」

  サントリーホール

 つい先日聴いたマカル&チェコ・フィルの情熱的な「わが祖国」に比べ、かなり几帳面で堅実な演奏だ。

 誇張や芝居気の全くない表現だが、このような手堅いしっかりした演奏で聴くと、これまであまり意識しなかったこの連作交響詩の性格がはっきりと浮かび上がってくる。
 たとえば、前半の3つの作品に比較すると、後半の3つには、明らかに管弦楽法に円熟の味が聴かれることだ。劇的な演出を排した場合には、作品の裸形が浮かび上がってくることがよくある。「ボヘミアの森と草原より」が開始された瞬間、それまでの3曲とは明らかに異なる、スメタナの進境を示すような堂々たるシンフォニックな響きに魅了される。とはいえ、それはもちろん、演奏の良さによるものであることはいうまでもない。前半の3曲においても、よき時代のチェコのオーケストラを蘇らせる音色があふれており、これはこれですばらしい。
 全曲を通じて、弦の音色には、しっとりした瑞々しい美しさがある。「ターボル」の終わり近くの弦のリズムなど、なんといい響きなのだろう。「ブラニーク」でのコーダへの盛り上がりもスムースで流れがよく、エンディングの和音のたたみかけでもオーケストラは正確にリズムを刻んでいった。きちんとした佇まいの、気品のある「わが祖国」だが、それでも取り澄ましたような冷たさは全くなく、温かさと懐かしさのある、民族色豊かな雰囲気が演奏にあふれていたのである。
  「音楽の友」3月号(2月18日発売)演奏会評

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