2020-05

10・28(金)内田光子&ハーゲン・クァルテット 第1夜

 サントリーホール  7時

 2夜連続のうちの初日は、前半にハーゲン・クァルテットがベートーヴェンの「弦楽四重奏曲第13番」+「大フーガ」、後半に内田光子が加わってシューマンの「ピアノ五重奏曲」というプログラム構成。
 ずっしりと重い手応えを感じさせたのは、もちろん作品自体の性格にもよるが、演奏に漲る卓越した求心力、沈潜した緊迫感、といったものにも因るところが大きいだろう。

 結成30年を迎えているハーゲン四重奏団の近年の円熟ぶりはめざましく、もう昔のような楽観的な音楽は影も形も見えない。演奏のいたるところに突き詰めたような緊張感があふれていて、時には切り込むように鋭い魔性が閃く。
 「大フーガ」の、十数分に及ぶフーガの展開のあと、あの跳躍する最初の主題がいよいよ大詰めと言う感じで登場して来るくだりで、何か身の毛のよだつような戦慄を感じてしまったのは、――実はこの1週間、会津若松の飯盛山麓にあった藩政時代の先祖の墓を東京に改葬する作業にかかり切りになっていて、それが漸くこの日の昼に完了したばかりだったので、何か精神的に昂ぶっていたせいもあったかもしれないが、――とにかく、これはやはりほんとに物凄い曲だ、という思いを改めて強くしたものであった。
 
 それゆえ、後半のシューマンの曲に入った途端、はっと気が安らぐような気持になったとしても、無理もないだろう。こちらはこちらで、何といい曲だろうと、心が暖かいものに包まれる思いになった。
 内田光子のピアノはいつもながら燃え上がるような激しさを持っており、強豪ハーゲン四重奏団をもリードしてしまう勢いに満ちてはいるが、第4楽章後半などでは、若手たちがよくやるような、終結に向かって殊更に煽り立てるようなことは一切やらない。むしろテンポを引き締めつつ、叙情的な性格を守りつつ結んで行った。ちょっと物足りないところだが、しかしこれはこれで、実に風格のある立派な演奏だったことはもちろんである。

コメント

わっ、藩政時代のご先祖様、ブログに登場!ベートーヴェンでウェルカムだったのですか。それはそれは・・・。あれっ?もしかして、時代的にはちょうどベートーヴェンの頃ですか?!歴史を横に見るとおもしろいですニャあ。ご先祖もさぞ驚き喜ばれたことでしょうニャあ。んっ、ねこはいつの猫かって?まさか飯盛山歩いてた記憶はニャあが・・・昔からいたよな気もする・・・

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