2020-05

10・24(月)中嶋彰子ソプラノ・リサイタル

    HAKUJU HALL  3時

 これはHAKUJU HALL売りものの「リクライニング・コンサート」の一つとして行なわれたもの。

 リクライニング・コンサートとは、以前は「聴きますか、眠りますか」とかいったPR文句で、後方の席のみをリクライニングにして「眠ってもいいよ」としていたコンサートである――福井敬(テノール)がリサイタルをやった時には、1曲目に「だれも寝てはならぬ」を歌うという洒落たプログラムにしていたが。
 最近では、リクライニング・シートはそのまま設置されているものの、そういうキャッチフレーズは止め、内容の上でも、コンサートとして本格的なものとし、1時間ほどのプログラムで昼夜公演――というシリーズ企画が発表されている。

 今日の中嶋彰子と、ピアノのニルス・ムースとの協演では、歌曲、オペラ、オペレッタなど幅広いジャンルから10曲前後の作品が組まれた。
 ウィーンで活躍する中嶋彰子の、この上なくドラマティックな表現に富む強靭な声が、客席の最後列のリクライニング・シートに寛いでいた私の所までビリビリと飛んで来て、もちろん眠るどころではなく、大いに堪能させてもらった次第である。

 彼女の声は、単に張りがあって美しいだけでなく、いわゆるドラマトゥルギーを備えていて、歌詞と音楽とが肉離れを起こさず、密接に一体となって結びついているという特徴を持っている。
 特に面白かったのは、シューベルトの「野ばら」やトスティの「4月」を、歌詞の内容を劇的に表現して、オペラ的に歌い表現してみるという試みだった。

 この手法で歌われた場合、歌詞は強調されて劇的な要素を強める一方、音楽は単なる甘美さや流麗さから少し距離を置き、レチタティーヴォ的な性格を感じさせる。聴き慣れた曲に新鮮さが導入されることは確かだ。
 その他、ベルリーニの「清教徒」、ヴェルディの「マクベス」、スッペの「ボッカッチョ」、中山晋平の「ゴンドラの歌」なども歌われた、すべて歌詞の内容の表現が巧みだが、とりわけ日本の歌曲がこのようなアプローチで歌われた時には実に面白い効果が生まれるので、私は気に入っている。

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