2020-05

10・22(土)広上淳一指揮日本フィルハーモニー交響楽団

   サントリーホール  2時

 何年か前までの日本フィルからは想像もつかぬほどの、緻密で精妙な、均衡の豊かな快演が今日も聴かれたのは、祝着の極みである。
 広上淳一が客演して指揮したプログラムは、シューベルトの「交響曲第3番」、ブラームスの「ヴァイオリン協奏曲」(ソロはボリス・ベルキン)、R・シュトラウスの「町人貴族」組曲だった。

 とりわけ感心させられたのは、あとの2曲である。ブラームスがこれほど堅固で隙のないアンサンブルを以って緊迫感を失わずに演奏されたのは、広上の制御の巧さもさることながら、日本フィルの最近の演奏水準向上への努力のたまものであろう。
 もちろんこの曲では、ソリストのボリス・ベルキンの骨太で剛直な、並外れた集中力に富む真摯そのものの演奏がまさに圧巻というにふさわしかった。だが、それに拮抗してシンフォニックな世界を繰り広げた日本フィルの演奏もまた見事だったのである。第2楽章でのオーボエのソロも良かった。

 さらに愉しかったのは、「町人貴族」だ。小編成で各パートの奏者がソロを競い合うこの曲は、ほんのちょっとしたアラも丸見えになる危険性を孕んでいるが、ここでのオーケストラの演奏は、驚くほど完璧なものだった。
 ホルン、トロンボーン、トランペット(オッタビアーノ青年の、ただ1回の華麗なソロが見事に映えた)、オーボエをはじめとする木管群、ヴァイオリン(江口有香)、チェロなど、ソロがことごとく見事だったし、それらのバランスも非の打ち所がなかったと言っていいだろう。

 腰をくねらせながら表情豊かな音楽を求めて指揮をする広上淳一の狙いからすれば、もう少しエロティックなニュアンスが実現できてもいいのではないかという気もするが、ここまで「綺麗な」響きの「町人貴族」が聴けたのだから、満足することにしよう。
 とにかく今日は、広上のセンスの鮮やかさと、日本フィル近来の美演とが、われわれへの最大の贈り物。
 

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