2019-08

8・11(木)ペーター・コンヴィチュニーのオペラ演出アカデミー第9日

   滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール リハーサル室
 
 アカデミーも、いよいよ仕上げの段階に近づいている。
 明日の本番「発表会」を前にして、今日は午後2時半からゲネプロ。受講者のほぼ全員が出演、全曲を切れ目なしに歌い、演じた。

 嘉田由紀子・滋賀県知事も駆けつけて来て、客席最前列で熱心に終演まで観ていた。びわ湖ホールといえども「公益財団法人」だから、知事の出席は、今後の継続開催にいい影響を与えるだろう。

 沼尻竜典・びわ湖ホール芸術監督は、今日は松本のサイトウ・キネン・フェスティバルのリハーサルのため留守にしており、副指揮者の森香織が指揮を執った。
 照明効果が初めて加えられての完全な全曲通し演奏である上に、指揮者が替わったことも影響してか、演奏にも演技にも、昨日とは多少の異なった雰囲気が感じられたのは事実であろう。

 第2幕での群集のノリは、昨日のそれよりも少しおとなしくなっていた。「冷たき手を」でのロドルフォ(山本康寛)の歌唱も、今日はやや抑え気味になっていたが、ただこれは、明日の本番に備えてということもあったかもしれぬ。
 その一方、第4幕でのムゼッタ(端山梨奈)のように、一昨日の練習時に比べて演技に長足の進歩を遂げていた人も多かった。

 いずれにせよ、ゼロからスタートして、ついにここまで細密なドラマの舞台を創り上げて来た演出指導者をはじめ、受講者および制作スタッフの意気込み、情熱、努力、忍耐、根気、感性は、称賛すべきものと言わなくてはならない。
 ゲネプロは4時20分に終了したが、そのあとも明日の本番に備え、コンヴィチュニーによる更なるダメ出しや、演出グループの打ち合わせ、歌手たちの練習などもあったようである。

 前回のアカデミーの時にも書いたことだが、音楽と歌詞とドラマに基づいた演技を入念に掘り下げ、実地に生かして会得するこのような「演出アカデミー」は、わが国のオペラ界において、いま最も必要とされるものの一つではないかと思われる。
 本来は、日本の各音楽大学でこのようなテーマに関する本格的な講座が常設されて然るべきなのであろう。
 単に両手を拡げて歌ったり、片手を差し延べて歌ったりするようなありきたりのジェスチュアではなく、もっと人間のドラマを表現する演技を学ぶアカデミーが、何故日本のオペラ界には常設されないのか?
 教える側も学ぶ側も旧弊のスタイルに囚われて、なかなかそれ以上の段階には進めないと嘆く良心的な関係者もいる。

 そういう状況の中でのこの演出アカデミーの存在は、甚だ貴重である。
 学生だけでなく、すぐに実戦に臨む立場にいる現役歌手たちも、こういうセミナーを積極的に受講すれば、いっそう有益なのではなかろうか? 音楽大学の先生たちにも参考にしてもらいたい、とわれわれは思うのだが、こちらの方はプライドや、面倒な学閥や対抗意識などが障害になるのかもしれない・・・・。

 今回は歌手たちの指導が主なる目的のアカデミーだったが、行く行くは演出家を育成するための本格的な組織も欲しいところである。

コメント

おっ!東条賞が出とる!!!おめでたや~!
歌手にはよい演出家のもとで公演に出演する機会があれば絶好の機会ニャリ。

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