2017-08

7・2(土)広上淳一指揮日本フィルハーモニー交響楽団

   横浜みなとみらいホール  6時

 首都高の環状線経由で横浜へ向かい、開演に間に合う。
 こちらは日本フィルの横浜定期の今シーズンのファイナル・コンサートで、広上淳一が客演、ドビュッシーの「小組曲」(ビュッセール編)、カントルーブの「オーヴェルニュの歌」(6曲)、ホルストの「惑星」、アンコールにシベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」を指揮した。

 予想外・・・・と言っては何だが、これは日本フィルの近年における出色の快演ではなかろうか。広上淳一の巧みな指揮が生み出した成功である。
 「小組曲」のような夢幻的な作品で、このオーケストラがこれだけエレガントな表情を出すとは予想していなかった。「オーヴェルニュの歌」でも、田園的な楽趣に満ちた柔らかい響きが美しい。
 この2つの作品では日本フィルの木管が見事で、特に1番オーボエの杉原由希子と、1番フルート(首席)の真鍋恵子が、いつもながらの魅力的なソロを聴かせてくれた。

 後者でソプラノ・ソロを歌った谷村由美子は――私は彼女の長いソロを聴いたのはこれが初めてなのだが――明るい、ふくらみのある声と、コケティッシュな軽快さも備えた歌いぶりで、大いに感心させられた。
 彼女は京都出身で、10年前にはびわ湖ホール声楽アンサンブルのメンバーだったこともある由。パリ国立高等音楽院などに学んだ後、フランス他で幅広い活躍をしている人だ。「オーヴェルニュの歌」は滅多にナマで聴けぬ曲だが、このような曲想に合った歌唱をするソプラノによって聴くことができ、幸いであった。

 後半の「惑星」も、奇を衒わずにダイナミックな起伏をつくる広上淳一の「持って行き方」の巧さが聴きものだ。「火星」の後半など、すこぶるスペクタクル性があったし、最近人気の「木星」中間部の主題など、やはりこれはいいフシだ、という思いを新たにさせられる。
 オーケストラのバランスも、各パートのソロも、今日は並外れて良く、特に1番トランペットのオッタビアーノ・クリストーフォリ(客演首席)が、一段と力のある輝かしい音を響かせ、さながらオケの進軍の先頭に立つ若武者という感をも抱かせた。

 たった一つ、私が疑問を持ったのは、女声合唱(東京音大)をステージ後方の上、オルガンの横に配置したこと。私の席(1階23列あたり)から聴くとなかなかいい響きではあったものの、最後のフェイド・アウトの瞬間が、予想通りリアルな、即物的な音になりすぎるのである。これはやはり、舞台裏あたりから遠く神秘的に、夢幻的に響かせて消えて行く方がいいのではないのか? 
 しかもこの曲で――宇宙の彼方(もしくは深海の神秘のような)のイメージで流れる美しいオーケストラの音に浸りたいと思っているのに、入場する合唱団の動きに気をとられ、一瞬注意を削がれるというのも、私はあまり好きではない。

 もっとも、終演後にロビーで会ったマエストロ広上が、「今日は、あそこは狙った通りにすべてうまく行った!」と喜んでいたので、私としては何も言えなくなってしまったが・・・・。
 アンコールでのシベリウス。これが良かった! 彼のアプローチも、日本フィルの弦も、これまでに聴いた演奏の中で最高の部類に属するものだった。

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ふーむ、オーヴェルニュの歌は夏に聴くのに涼やかでよいニャリ!確かあの歌のCDだけで有名な歌手もいたニャリね。ねこもオーヴェルニュまでは散歩してニャいが、あれ聞くと、夢にまで情景が出てきそうな気がするニャリ。名曲ニャり!

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