2019-05

6・25(土)ダニエル・ハーディング指揮新日本フィルハーモニー交響楽団

   サントリーホール  2時

 これはサントリーホール定期。
 エルガーの「チェロ協奏曲」(ソロはウェン=シン・ヤン、若いが味があって素晴らしい)に、ベートーヴェンの「交響曲第7番」。ハーディング人気か、しかも「ベト7」ゆえか、ほぼ満席である。

 今日の「ベト7」は14型編成で、ホールいっぱいに響きわたる美音の世界だ。
 第1楽章の提示部に入って間もなくの、フェルマータから音を全く切らずにそのままフォルティシモの第1主題に突入するという解釈に象徴されるように、この曲でのハーディングの指揮は、実に流れがいい。
 リズム感も、新日本フィルにしては粒立っている方だが、ハーディングにしては鋭角的ではなく、むしろ流麗な部類に属するだろう。

 これほどリズミカルにエネルギッシュに、かつ快適に突き進む「ベト7」は、決して多くはなかろう。
 テクスチュアも豊麗でありながら要所で明晰なところがあり、第2楽章【B】で波打ちながら盛り上って行くヴィオラとチェロの動きや、第4楽章最後のクライマックスの、フォルテ3つの轟音の中で下行するヴィオラとチェロの動きなどがはっきりと聞こえたのは面白く、この曲の管弦楽法の多彩さを浮彫りにしてくれた。

 協奏曲でも、耽美的なほどの叙情感が見事であった。こういう、愛情と共感にあふれた演奏を聴くと、そういえばハーディングはエルガーと同じ国の音楽家だったのだ、などということを改めて想起してしまう(ハーディングのような個性的な指揮者の場合、彼の国籍のことなどあまりわれわれの念頭にはないものだが)。

 結局、新日本フィルとの3つの演奏会で示されたのは、ハーディングはこのオーケストラに対しては、マッスとしての豊麗さ、重量感、ストレートに驀進するエネルギー感、叙情性、といったものに比重を置いて、比較的自然なバランス感覚を求めて指揮した、ということであろう。
 したがってこれはもう、彼が今月初めに手兵マーラー・チェンバー・オーケストラ相手に繰り広げた変幻自在、手練手管(?)の前衛的な「ハーディング流」解釈とは全く路線を異にする。
 指揮するオケによってスタイルを変えるという、この才人指揮者の多様な側面が聴けたという点でも、すこぶる面白い3週間の体験であった。

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