2017-10

12・1(土)井上道義指揮 ショスタコーヴィチ:交響曲第4番
12・1(土)アントン・レック指揮東京交響楽団

    日比谷公会堂 5時  サントリーホール 6時
 
 日比谷公会堂は、日比谷公園の一角にある。夕暮れの公園は、いま紅葉で美しい。都内の大ホールの中で、周囲の雰囲気の良さでは、やはりこの日比谷公会堂が一番だろう。もしここがすばらしい音響効果を備えていれば、おそらく都内最高の音楽会場になっているはずだ。建物の外観はそのままにして、音響と椅子の作りだけ変える、というわけには行かないものだろうか。ロビーの売店でクリームパンを売っているという風情は、いまどき得がたい良さを感じさせるが・・・・。

 井上道義が11月3日に開始した「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏」も、回を重ねて今日が第6回。例のごとく「チケット1枚3千円だから、大変な赤字だよ」のプレトークに始まる。ゲストに内田裕也が来た。クロス・ジャンル的な話をもう少しすればいいのに、当たり障りのない話題ばかりで、結局単なる景気づけに現われたようなもの。

 今日演奏されたのは「第4番」。
 18型大編成の東京フィルが舞台を埋め尽くした。井上渾身の指揮は今日も物凄く、地獄に落ちろとばかり怒号するオーケストラも凄まじかったが、最も感銘を残したのはやはり全曲最後の長い弱音の神秘的な個所。遠い遠い何かを見つめ続けるようなこのエンディングには、いつも鳥肌の立つような思いにさせられる。長い全曲のすべては、この1個所に集約されていると言ってもいいだろう。30歳の若さでありながら、ショスタコーヴィチは本当に凄い曲を書いたものである。
 前回と同様、2階席後方に陣取って聴く。客の入りは必ずしもよくないが、しかし全員が恐るべき集中力をもって聞き入っていた。すばらしい聴衆だ。

 日比谷公会堂を飛び出し、タクシーに飛び乗って数分、赤坂のサントリーホールに着く。アントン・レック指揮東京交響楽団の定期が6時から始まっており、1曲目のハイドンの交響曲第104番「ロンドン」がちょうど終ったところだ。
 次は小菅優が弾くラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」で、どうせピアノを出してステージ配置換えを行なうのだから、たっぷり時間があるわけなのに、レセプショニストの女性がすぐにでも演奏が始まると言わんばかりの恐ろしい形相で急き立てる。それに釣られて、息を切らせつつ客席に駆け込んでしまう。
 常々ここのホールのレセプショニストは(人にもよるが)、1ベルが鳴ったばかりであっても、トイレにいる客に緊迫感あふれる声で急き立てて来るという癖がある。心臓に悪い。

 シュテファン・アントン・レックという人は、以前に新国立劇場で「ルル」と「マイスタージンガー」を聴き、なかなかに味のある指揮者だと思っていた。
 今日のプログラムの中では最も彼に向いているだろうと思われた「ロンドン」が聞けず、残念だったのだが、あとの2曲のロシア音楽が、これはまた思いがけず面白い。
 特に「春の祭典」は、量感たっぷり、低音域に重心のある底力満点の響きで、天地鳴動、家鳴震動のド迫力。しかし綿密な構築が採られており、ふだんはあまり聞こえないような裏のパートがぐいぐいと表面に浮かび上がってきたりして、すこぶる新鮮でワイルドな「春の祭典」となっていた。パウゼを長く採りすぎるのが気になるが、いい音楽をする指揮者だ。東京響も木管が少しワイルドだったが、実によく鳴っていた。

 8時15分頃終演。またタクシーに飛び乗って渋谷のNHKホールの楽屋口に向かう。6時から始まっていたアラン・ギルバート指揮のN響の演奏会はとうに終っているが、NHKーFMの生中継は9時まで放送が続いており、中継室では渡辺晃廣ディレクターと、おなじみ山田美也子さん、それに今回がN響生中継番組へのデビューだという音楽ジャーナリストの大橋マリさんが放送中。終了後に大橋さんと来週のパリやブリュッセルの取材について若干打ち合わせ。そのあとヤキトリを食べに行こうという段取りだったが、今朝接種したインフルエンザの予防注射の副作用について渡辺ディレクターから散々に脅かされたため、落ち込んで先に逃げ帰る。

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いよいよ師走ですが、
先月三十日のうち二十六日のコンサート日記は
量も内容もたっぷりずっしり !!!
美味しいご馳走を満腹に頂戴した気分でございます。
師走のスタートも楽しい三ヶ所中継に始まり
近く海外からのコンサート日記も楽しみにしております。

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