2020-04

4・17(日)ギドン・クレーメル・トリオ

  サントリーホール  7時

 当初は8日に予定されていたギドン・クレーメルの演奏会が、日程を変更して実施の運びになった。彼もまた、あれこれの問題を克服して訪日を決行してくれたらしい。
 来日が延びたのは、協演の女性ピアニストが故国グルジア政府による渡航自粛勧告および周囲の猛反対に遭って訪日を取り止めたため、代わりにワレリー・アファナシエフへ依頼して快諾を得たものの、彼のスケジュールの関係で当初の日程を変更せざるを得なかったからだとのこと。
 しかし、アファナシエフも、よく来てくれたものだ。

 で、要するに今回の出演者は、ヴァイオリンにクレーメル、ピアノにアファナシエフ、チェロにリトアニア出身の女性ギードゥレ・ディルバナウスカイテという顔ぶれである。
 プログラムは、前半にシュニトケの「ショスタコーヴィチ追悼の前奏曲」、バッハの「シャコンヌ」、ブラームスの「ヴァイオリン・ソナタ第3番」。後半にヴィクトリア・ポリェーファの「ガルフ・ストリーム」とショスタコーヴィチの「ピアノ三重奏曲第2番ホ短調」。

 1曲目のシュニトケは、曲を聞いて思い出したが、1977年にクレーメルが初来日した際、初めてのリサイタル(6月10日)で弾いた曲だった。私がFM放送のために収録した時である。「前奏曲 ショスタコーヴィチの想い出に」と呼んだ方が正しいだろう。
 あの日は雨で、しかも音の悪い日比谷公会堂での演奏会だったから、音も湿気てしまって、何だかあまりよく解らなかったという記憶がある。今日、改めて聴いて、バックのスピーカーからエコーのように流れてナマ音とかぶるテープの音ともども、結構美しい曲だという印象を得ることができた。

 もう一つ、今夜の中でユニークな曲は、「ガルフ・ストリーム」という小品である。グノーの「アヴェ・マリア」がバッハの「平均律クラヴィーア曲集第1巻」の第1曲の前奏曲に乗せた旋律だというのは周知の事実だが、こちらの曲では、あのフシを同じバッハの「無伴奏チェロ組曲第1番」の第1楽章の分散和音に乗せるという面白いアイディアになっている。なるほど、してやられた、という印象だ。

 その他の名曲も含めて、クレーメルの超人的なほどに凝縮された集中力には、やはり圧倒される。アファナシエフの切り込むように鋭いピアノも、強靭な迫真力を噴出させている。
 この2人の猛者に挟まれて「三重奏曲」では初めのうち若干分の悪かったディルバナウスカイテだったが、しかし第2楽章以降では、丁々発止と応酬していた。

 結局、聴き応えのあったのは、やはりこのショスタコーヴィチと、それからバッハとブラームス、といったところだろう。

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