2019-07

4・7(木)東京・春・音楽祭  河村尚子ピアノ・リサイタル

  東京文化会館小ホール  7時

 これはチャリティコンサートではなく、音楽祭の公演として当初から組まれていたもの。さすが人気ピアニスト、チケットは完売されてぎっしりと満席。

 プログラムは、前半に、ブゾーニが編曲したバッハのコラール前奏曲「主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ」BWV639と、有名な「シャコンヌ」。そしてR・シュトラウスの「5つの小品」作品3というめずらしい曲。
 後半はリストの作品集で、彼の編曲になる「イゾルデの愛の死」(ワーグナー)、「糸を紡ぐグレートヒェン」と「水車小屋と小川」(シューベルト)、「献呈」(シューマン)。そして自作の「愛の夢」第3番と、「ダンテを読んで」。

 プログラムの組み方が巧いことは事実だが、その流れの中で彼女がつくり出す演奏の起伏も絶妙だ。
 第1部は、落ち着いた情感豊かなコラールで始まり、厳しい「シャコンヌ」に変り、ロマン派の軽やかな小品集で結ばれる。そして第2部は、激しい「愛の死」から、叙情的な小品集を経て、再び激烈な地獄篇の音楽で終る。アンコールはまたバッハに戻って「羊は安らかに草を食み」で静かに結ばれる――という趣向。

 こうした曲想の変化を、彼女は実に多彩に描き出してくれた。プログラムに密度の濃さを感じさせ、しかも長さを感じさせない、という印象は、そこからも生れるのだろう。
 特に編曲ものの――「愛の死」はわざとらしい編曲でもともと好きになれないが――シューベルトとシューマンにおける流れるような詩的な美しさは、陶酔的でさえあった。

 最後の「ダンテを読んで」は没入の演奏で、リストへの彼女のアプローチに多大の興味を抱かせる。確か昨年あたりまでは、リストのソロ曲は、彼女のメイン・レパートリーには入っていなかったのでは? 急速に進む彼女のレパートリー開拓が楽しみだ。

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