2017-11

3・25(金)井上道義指揮オーケストラアンサンブル金沢

   東京オペラシティコンサートホール  2時

 先にも書いたことだが、命を与えられているわれわれが今やるべきことは、被災した人々と亡くなった人々に思いを馳せつつも、己自身の仕事を遂行することである、と私は思う。
 演奏を始める前、井上道義氏も同様の趣旨のことを聴衆に語り、ともに黙祷をと呼びかけた。

 今日の演奏会は、東京オペラシティのマチネー「ウィークデイ・ティータイム・コンサート」だ。
 井上道義とオーケストラアンサンブル金沢が、予定通り東京に来て、出演した。
 どうせ東京に来られるなら、前日の東京定期公演(於サントリーホール)を中止にしたのはなぜか?と思うのは当然だろう。だが、聞くところによると、昨日の中止はオケ側の意向ではなく、東京定期を支援するはずの大スポンサーの都合によるものだったそうな。
 それに対し今日の主催者である東京オペラシティ文化財団は、欣然として――主催者側は「淡々と」と言っていたが――予定通りの開催を選んだというわけだ。

 プログラムは、一見軽めのようだが、実はなかなか洒落ていて、意欲的でもある。
 ロッシーニの「アルジェのイタリア女」序曲に始まり、ピアソラの「エスクアロ」「オブリヴィオン」「リベルタンゴ」、ファリャの「火祭りの踊り」、ポンセの「エストレリータ」、ララの「グラナダ」と続いたが、特に第2部の曲目――ルーセルの「小組曲」とミヨーの「スカラムーシュ」などは、ナマでは滅多に聴けない曲であり、聴く側としても貴重な体験であった。
 サクソフォンのソロは須川展也。

 演奏は、いわゆる「マチネー」的なものにはならず、すこぶる気合が入っていた。特にピアソラの作品3曲や「グラナダ」などは、須川の天馬空を行く演奏とともに、OEKの本領発揮ともいうべき鮮やかで華麗なものであった。

 電力節減のため、ロビーもホール内も、空調は「自動切換え」とのこと。
 照明もすべて極度に落されていたが、舞台上の照度は別として、客席もホワイエも、むしろ普段からこの程度でも充分ではないかという気がする(そもそも日本のホールの灯は眩しすぎる)。
 幸いなことに、このホールの天井には大きな窓があり、そこから自然光が入る仕組になっているので、今日のようなマチネーの場合には、ちょうど良かろう。サンクトペテルブルクのフィルハーモニーのように、ガラス張りの高窓がずらりと並んでいるホールならなおさら電力節減に便利だろうが――もっともあのホールは、夏など本番中に西日がカンカン差し込んで来るので暑くてたまらない、という欠点はあるが。

 「地方都市オーケストラ・フェスティバル」は中止され、インバルの来ない都響の演奏会もすべて中止され、「東京・春・音楽祭」でも目玉商品のネルソンス指揮「ローエングリン」をはじめ、多くの公演が中止されてしまった。
 外国人演奏家が来日できないのは、この際、致し方ない。となれば、こういう時こそ日本人演奏家たちに意地を示してもらわなければならぬ。

   ⇒モーストリークラシック 6月号

コメント

ガラス張りは地震国ではちょっと怖いですニャあ。猫なんてはだしで歩けなくなるニャリよ・・・。演奏会無事に開催でよかったです。

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