2017-10

3・1(火)尾高忠明指揮札幌交響楽団東京公演

   サントリーホール  7時

 今回の東京公演のプログラムは「英国系」ではなく、ショスタコーヴィチの「チェロ協奏曲第2番」と「第5交響曲」に武満徹の「ハウ・スロー・ザ・ウィンド」を組み合わせたもの。後者の2曲は5月の札響の欧州演奏旅行(英、伊、独)にも携えて行く作品だから、それとの関連で選曲されたのだろう。

 札響の音色は――札幌コンサートホールとサントリーホールのアコースティックの違い、あるいは聴く位置の違いなども関係するので断定的なことはもちろん言えないけれども、少なくともこのホールで過去に聴いて来たものと比較しての印象で言えば――特に弦の音色は以前より明るくなり、響きにも強い張りと、デュナーミクの明晰なコントラストが生じて来ているようである。
 楽員の世代交代が進みつつあるという話をチラリ聞いたような気もするが、その関係もあるのだろうか。
 いずれにせよ、メリハリがはっきりして来たのは、良いことだ。最強奏での響きには少々生硬なものがあり、混濁も皆無ではないけれども、音楽に勢いがあることこそ、何より好ましい。

 「第5交響曲」では、最初のうちはアンサンブルに少し力みかえったような落ち着きのなさが感じられたが、木管群が先に調子を出し、第2楽章後半あたりから合奏に均衡が復活し、第3楽章では前述のように弦が冴えた。フィナーレは渾身の盛り上がりで、この演奏は札響のベストのうちに含まれるだろう。

 その余勢を駆って弦楽器群は、アンコールとしてシベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」を聴かせた。これは先日札幌で聴いた演奏よりも格段に張りと厚みと熱気が感じられ、魅力的であった。この小品は、尾高と札響の「名刺」の一つに成り得るのではなかろうか?

 武満作品は、日本の演奏家ならば、良く出来て当然のもの。尾高と札響にとっても得意のレパートリーのはず。それゆえもう少し座りのいい、しっとりとした叙情があってもいいのではないかと思ったが、しかし木管に現われる主題(動機)の旋律的な美しさがこれほど浮彫りにされた演奏に出会ったのは、私は初めてであった。
 「チェロ協奏曲」では、ゲスト・ソリストのミクローシュ・ペレーニがすこぶる良い味を聴かせた。野性的な荒々しさでなく、このようにじっくりと沈潜した表現で演奏された方が、この曲の良さが出る。

    ⇒モーストリークラシック5月号

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