2008-05

8・10(金)大野和士指揮東京フィル

東京オペラシティコンサートホール

 久しぶりの大野和士を迎えて、客席は満員である。彼に寄せられる拍手と歓声の大きさは、すでに小澤征爾を凌ぐほどだ。国際的には、彼はいわゆる「実力派」的存在で、かつての小澤のようなアイドル的・スーパースター的な人気指揮者ではないが、今日の演奏などを聴くと、そんなことは大した問題ではないという気持になる。
 「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」(R・シュトラウス)での、ストーリイの語り口の巧さは、さすがオペラで世界に名を馳せる大野の力量だ。また、ショパンの「ピアノ協奏曲第2番」の冒頭などを聴くと、彼が世界で良いオケを数多く指揮していることが理解できる。あの東フィルが、まるでヨーロッパのオケ(但し地方マイナーオケという雰囲気だが)のように、良い意味でケバ立った響きを出していたのである。ベルリオーズの「幻想交響曲」でも、オーケストラは非常に劇的かつ表情豊かに轟いた。この「持って行き方の巧さ」は、明らかにオペラを知っている指揮者のセンスである。
 東フィルは、トランペットの音色にもっと美しさが欲しいところだ。「幻想」ではコルネットのパートが復活されていたが、使われていた楽器はトランペットではなかったろうか。いずれにせよ、舞踏会の華麗な煌めきを描くという音色には些か遠かった。ピアノのソロは小山実稚恵。

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