2020-01

2020・1・26(日)グランドオペラ共同制作「カルメン」

     札幌文化芸術劇場hitaru  2時

 午前9時羽田発のANA55便で札幌に入る。
 すでに横浜と名古屋で上演された田尾下哲演出によるプロダクション、「カルメン」の札幌上演。詳細は昨年の名古屋公演(☞2019年11月3日)の項で触れ、絶賛のコメントを捧げている(横浜公演は観ていない)。

 今日の歌手陣は、アグンダ・クラエワ(カルメン)、城宏憲(ドン・ホセ)、与那城敬(エスカミーリョ)、青木エマ(フラスキータ)をはじめ、名古屋公演と同一の顔ぶれだったが、今日の札幌公演の方が、概してみんな声の伸びがいい。
 二期会合唱団の、特に女声団員たちが歌とダンスを見事にこなすさまも、名古屋公演の時より更に練り上げられていたようである。

 また、ここ札幌のピットでは、エリアス・グランディが札幌交響楽団を指揮したが、これが実にいい演奏だったのだ。グランディという人はPMFにもアカデミー生として参加したことがあるそうで、従って今回は札幌への恩返しともいうべく、PMFの「札幌への還元」を実現したともいえよう。
 そして札響のオケ・ピットに入っての演奏の確実さ、緻密さ、音の良さは、嬉しい驚きでもあった。このオケ・ピットでの演奏の良さという点だけから言ったら、札響は、東京の読響、西の京響と並ぶ存在と敢えて称しても過ぎることはあるまい。

 もう一つ、合唱には「札幌文化芸術劇場カルメン合唱団」と「HBC少年少女合唱団」が参加したが、後者の歌いながら踊る可愛さは絶品であった。

 演出の面では、基本的には名古屋公演と共通ゆえ、詳しくは触れないが、いくつか変更されたり、手直しされたりした個所もある。変更された最大のものは、「アカデミー賞授賞式の劇場の外」と読み替え設定されている最終幕のラストシーンだ。

 名古屋では、カルメンが殺されたあと、劇場内から颯爽と現れたエスカミーリョが既に別の女性に鞍替えしているのを見た女性テレビ・レポーターが唖然とするというオチで終る演出だったのが、今回は、フラスキータが新しいスターとして誕生する、という設定に変わっていたらしい。
 ━━らしい、というのは、その場面で舞台奥から強烈な照明が当てられたため、1階客席からは眩しくて、フラスキータが何をやっていたのかがほとんど判らず、ホセが取り押さえられている光景だけが辛うじて確認できたに過ぎなかったのである。
 私はこんな言葉は滅多に使わないのだが、ここ(照明)だけは明らかに演出の改悪であり、失敗だったと言わざるを得ない。

 所謂通常の「カルメン」演出と違い、思い切った読み替え演出だから、横浜や名古屋の時と同様、お客さんの反応を心配していた。だが劇場関係スタッフから聞いた話によれば━━もちろん「なんだあれは」という否定的な反応もあったとはいえ━━「ミュージカルみたいで面白い」などという反応もあったそうで、つまり肯定的な意見も予想外に多く寄せられた由。
 そしてまた前日の公演(ダブルキャスト)の口コミが好評だった所為か、今日の当日売りが予想以上に伸びたとのことである。事実、1階前方通路から見渡した限りでは、2300という客席が何とほぼぎっしりと埋まっていたのだった。その点、ガラガラ状態に近かった名古屋公演とは大きな差があったと思われる。

 その他、プログラム冊子に「今回の《カルメン》のあらすじ」として田尾下哲自身の解説が載っていたこと、またそれが拡大されてロビーの2カ所に張り出されていたことなど劇場側の配慮もあって、観客の「戸惑い」も減少した、といっていいかもしれない。
 別の面から見れば、札幌のお客さんの大半はこれまでナマのオペラを完全な形で観る機会が少なかったためもあり、余計な先入意識に捉われることなく、むしろピュアな感覚でこの舞台を享受することができた、とも言えるのではないか。

 5時20分頃終演。札幌は雪が少ない。今日は昼頃少し散らついたが、夕方からは快晴となっていた。

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