2019-11

2019・11・4(月)ヤニック・ネゼ=セガン指揮フィラデルフィア管弦楽団

      サントリーホール  4時

 日本ツアーの2日目、チャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」とマーラーの「交響曲第5番」という組み合わせで、全4回の日本公演のうち、このプログラムは今日だけの由。

 音楽監督就任以来8シーズン目に入ったネゼ=セガンは、すでにこのオーケストラと一体化しているようだ。
 今日の、特にマーラーの「5番」では、奇を衒うことのないストレートな指揮の裡に、名門フィラデルフィア管弦楽団を自在に制御する━━というよりもむしろ、指揮者の考える音楽を充分に主張しながらも、オーケストラに伸び伸びと演奏させる、といった境地を実現しているように感じられるのである。

 フィラデルフィア管弦楽団のブリリアントな響きも健在だ。「5番」の第1楽章では、いくつかのソロ楽器の3連音符に少々無頓着な演奏も聞かれたものの、アンサンブルの音の均衡は前回来日の頃よりもずっと安定している。
 ともあれこれは、神経質な葛藤や自己矛盾などの複雑な心理表現といったものを一切排除した、いかにも屈託ない、壮麗無比な音の大洪水といった印象のマーラーであった。だが、豪華な音響的快感という点では、申し分ない演奏だったことは確かである。

 協奏曲を弾いたジョージア(グルジア)出身のリサ・バティアシュヴィリは、洗練された透明感と、率直な叙情と、若々しい躍動とを兼ね備えた演奏で、魅力的な人だ。一方のオーケストラの方は━━この曲になると、途端に昔のオーマンディ時代以来の「フィラデルフィア・サウンドによるチャイコフスキー」が蘇って来るから不思議である。その美音は全く見事なもので、良くも悪くも個性的だ。

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