2019-10

2019・10・26(土)「放蕩息子」と「ジャミレ」

      東京芸術劇場コンサートホール  2時

 「東京芸術劇場コンサートオペラ」の第7回で、佐藤正浩指揮ザ・オペラ・バンドと国立音楽大学合唱団が出演。
 前半にドビュッシーのカンタータ「放蕩息子」が浜田理恵、ヴィタリ・ユシュマノフ、宮里直樹の歌で演奏され、後半にはビゼーのオペラ「ジャミレ」が、鳥木弥生、樋口達哉、岡昭宏の歌により演奏会形式で取り上げられた。

 「ジャミレ」とは、また珍しい作品を紹介してくれたものである。私もビゼーのオペラの中で、有名な「カルメン」と「真珠採り」の他には「美しきパースの女」と「イワン雷帝」を聴いたことがあるが、この「ジャミレ」は初めて聴く作品だった。彼の完成されたオペラとしては「カルメン」に先立つもので、もちろんこれが日本初演だろう。

 ジャミレというのは、ヒロインの女奴隷のことである。物語の内容からしてドラマティックな激しさなどといった要素はなく、むしろ色彩的で流麗な音楽が基調になっている。こうして彼のオペラを複数聴き比べてみると、「カルメン」という作品が、いろいろな意味で、如何に彼のオペラの中で特異性を放っているものであるかが分かるというものだ。

 歌手陣は、近年絶好調の樋口達哉が今日も小気味よいパワーで気を吐き、若い岡昭宏も楽しみな快演を聴かせてくれた。鳥木弥生は先日の新国立劇場の「エフゲニー・オネーギン」でのオリガの時と同様、濃いヴィブラートが気になるのだが、このヒロイン役を一癖ある女性として表現していた。

 前半の「放蕩息子」も好演だったが、浜田理恵の母親リア役が見事な貫録で突出して目立っていた、という感。フランスものでは定評ある人だが、今なお健在なのは嬉しい。

 佐藤正浩の指揮は、ドビュッシーでは清楚な透明感を表出し、ビゼーでは甘美な世界を描いて、今回も見事な出来だった。

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