2019-09

2019・9・29(日)ひろしまオペラルネッサンス モーツァルト:「魔笛」

      JMSアステールプラザ大ホール  2時

 前夜のうちに広島に入る。

 川瀬賢太郎が広島交響楽団を指揮、岩田達宗が演出する新プロダクションということで、期待して行ったのだが、些かアテが外れた。

 序曲の後半から大蛇登場の幕開きにかけて、魔物どもの延々たる威嚇怒号絶叫がオーケストラを完全に打ち消してしまっていたが、音楽をまるきり聞こえなくしてしまうようなこんなやり方は、オペラの演出にはあり得ない。岩田さんともあろう人が、何ということをしてくれるんだ、と、ここからすでに激しい反発を覚えてしまう。

 また今回は、字幕付ドイツ語歌詞上演、日本語セリフという形式が採られていたが、このセリフ部分が著しく長い間を取って進められるのでドラマが間延びしてしまい、また女声歌手たちが一様に、頭の先から声を出すような、あの裏声にも似た甲高い声で台詞を喋り続けることなど、私にはどうにも堪えられない。

 パパゲーノに観客を巻き込んで広島カープの歌を歌わせたり、彼と老婆(パパゲーナ)のやり取りの部分を恐ろしく長く拡大して笑いを狙ったりする手法などを観ると、「ひろしまオペラルネッサンス」の性格も昔とはもう変わってしまったのか、と思う。ファミリー向けオペラを狙う路線と割り切れば、それはそれでいいのだろうけれども。

 ただ、岩田の演出としては、夜の女王やモノスタトスに人間味ある苦悩を表現させたり、タミーノに試練への疑問の念を一時的に抱かせたり、パミーナが「女性の復権」の信念を持つに至ったことを明確に描いたりしたあたりに、その片鱗が観られただろう。
 ラストシーンで、没落した夜の女王を美しく変身させ、ザラストロとの微妙な関係と、この老指導者が秘かに抱いていた永遠の女性像といったものを暗示する個所にも、岩田らしい新解釈が見出せる。

 本当は、岩田達宗のこういう演出がもっと観られるかと思って楽しみにして行ったのだが━━。
 川瀬賢太郎と広響が清楚な演奏をしていたのは救いだった。
 出演は、安東省二(ザラストロ)、端山梨奈(夜の女王)、川野貴之(タミーノ)、小林良子(パミーナ)、砂場拓也(パパゲーノ)他。

 20分の休憩を挟み、終演が5時35分になったのだから、いかにセリフの間合いが長かったかが判るだろう。

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