2019-09

2019・9・10(火)セバスティアン・ヴァイグレ指揮読売日本交響楽団

      サントリーホール  7時

 前半に、プフィッツナーの遺作「チェロ協奏曲イ短調」。
 プフィッツナーの作品というのは、私はどうも昔から苦手で、あの晦渋さには辟易させられるのである。いつだったか、放送でそういう発言をしたら、「お前にはあの深淵な哲学的精神が解る耳が無い」という匿名の手紙をもらったことがある。そうかなあとは思ったが、とにかく私には晦渋に感じられるのだから、だれに何と言われようと、譲る気は無い。

 そのプフィッツナーだが━━今日のチェロ協奏曲も相当渋いが、しかし今日のソリスト、ドイツ出身のアルバン・ゲルハルトの明晰な、芯の強い、確信にあふれた演奏で聴くと、その晦渋なイメージもかなりの程度まで払拭されて、むしろ強靭な性格を滲み出させた作品に感じられるのだから面白いものだ。
 ゲルハルトはアンコールにバッハの「組曲第6番」の「プレリュード」を弾いてくれたが、その強固な響きの裡にあふれるしなやかな表情も、実に見事だった。

 休憩後には、お目当てのハンス・ロットの「交響曲ホ長調」。
 出だしの、「エデンの東」主題曲そっくりのあのテーマが、トランペットのソロを含めて不思議に心細げに響き、そのあともオーケストラ全体が唖然とさせられるほどガサガサした、しかも痩せた音だったので、これはいったいどうしたのかと驚いた。
 だが幸いなことに、第1楽章途中からは次第に容が整えられて行き、マーラーの「巨人」そっくりの第3楽章では既に確固とした明るさが戻り、第4楽章では壮大で念入りな歓呼が繰り広げられ、聴衆を沸き立たせることに成功したのだった。

 トランペットを極端に際立たせることなく、全管弦楽のハーモニーの中に均衡を持たせて響かせていた所為か、のちにマーラーがあれほど臆面もなくパクった(?)特徴はあまり目立たずに感じられたのだが、これはヴァイグレの巧みな解釈だったのかもしれない。
 冒頭の不安定な演奏は、多分、かりに翌日も公演があったとしたら、その時は最初からまとまるだろう━━と思わせる類のものである。
 それにしてもこの曲、トライアングルは本当にお疲れさま、である。
 今日のコンサートマスターは小森谷巧。

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