2019-09

2019・9・6(金)山田和樹指揮日本フィルハーモニー交響楽団

      サントリーホール  7時

 フランスの作品と日本の作品を組み合わせるプロ。昨年も9月の定期で同様のプログラムが演奏されていた。いい企画だ。

 今日は最初にサン=サーンスの「サムソンとデリラ」からの「バッカナール」、最後にルーセルの「バッカスとアリアーヌ」第1・第2組曲。真ん中に間宮芳生の「ヴァイオリン協奏曲」と大島ミチルの新作の世界初演という、なかなか個性的な選曲である。
 協奏曲のソロは、今シーズンから日本フィルのコンサートマスターに就任した田野倉雅秋。今日のオケのコンマスは千葉清加が務めた。

 間宮のコンチェルトは、1959年に作曲された「日本フィルシリーズ」の第2作。演奏時間も40分近い長大な作品だ。
 初演を聴いたかどうかは定かでなく、もしかしてレコードで聴いただけだったのかもしれないが、とにかく、昔聴いた時のイメージとは全然違う。オーケストラのパートがさらに多彩で、輝きがあって、起伏が大きく、所謂民族色と言った傾向からも離れて、思索的な、凝縮した力が、昔よりもずっと明確に感じられるのである。
 失礼な言い方ながら、昔の日本のオーケストラの音には何となく「ねずみ色」という雰囲気があったので、作品に含まれたこういう多彩な音色も、今ほどはっきりと表出できなかったのかもしれない。

 間宮氏は今年90歳とのことながら、相変わらずお元気である。カーテンコールでは、客席からステージへ上がる階段や、ステージ袖に近い段差の大きな階段などを独りで難なく上がり降りされるという身の軽さで、聴衆を沸かせた。

 一方、大島ミチルの最新作「Beyond the point of no return」は、この「日本フィルシリーズ」の第42作とのこと。演奏時間約10分、冒頭にこそ「魔法使いの弟子」や「武満節」などのエコーがちらりと顔を覗かせるが、そのあとはひたすらエネルギッシュなリズムが主体となって進む、すこぶる明るい作品だ。
 「日本フィルシリーズ」にこういうストレートな傾向の作品が登場して来たというのも、やはり時代の流れというものだろうか。

 これらを挟んだフランスの2つの「ダンス音楽」では、山田和樹は日本フィルを鳴らしに鳴らし、猛烈果敢な力と大音響で押しまくった。
 「バッカナール」は、ああいう曲(?)だからそれでもいいけれども、ルーセルの場合には、いくら何でも最初から最後まで怒鳴らせ過ぎじゃないのかなあ。大音響自体は悪いことではないけれど、叙情的な個所も何も一緒くたにしたエネルギー優先主義では、この曲の起伏も精妙さも失われてしまう。
 ただし、第2組曲の後半、途中のカットなしに演奏してくれたことは、実によかった。

2019・9・6(金)藤原歌劇団 ロッシーニ;「ランスへの旅」

      新国立劇場オペラパレス  2時

 藤原歌劇団の公演だが、新国立劇場と東京二期会が共催するという形が採られていて、合唱には3団体のメンバーが━━といっても、もともとこれは大合唱団の出るオペラではないから、せいぜい数人ずつだが━━共演している。ソリストにもわずかながら二期会所属の歌手が加わっている。
 演出が松本重孝、舞台美術は荒田良。

 これは、4年前に日生劇場で上演されたものの再演だ。私も観ている(☞2015年7月4日)ので詳細は省くが、もちろん指揮者も歌手たちも、その時に観たのとは、大半が違う。 
 今回はダブルキャストで計4回の公演が行われているが、これだけの歌手が動員できたということは、最近の藤原歌劇団の強力さを示すものだろう。

 ただ、言っては何だが、中には音程の不確かな人もいて、大勢のソリスト全てに拍手を贈れるというものでもないのである。
 それに今日はBキャストで、もちろん、光岡暁恵(コリンナ)をはじめ、スター的存在の歌手もいるけれども・・・・配役表を見ると、やはりAキャストの方に有名な人たちが多いわけで・・・・。だからどうということではない。失礼。

 イタリア・オペラ、特にロッシーニを得意とする園田隆一郎が東京フィルを指揮して、実にいい演奏を聴かせてくれた。

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