2019-07

2019・7・20(土)ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団

     サントリーホール  6時

 J・シュトラウスⅡの「芸術家の生涯」、リゲティ(1923~2006)の「レクイエム」、トマス・タリス(1505頃~1585)の「スぺム・イン・アリウム」、R・シュトラウスの「死と変容(浄化)」。リゲティとタリスの作品では東響コーラス(合唱指揮・冨平恭平)が、リゲティの作品のみサラ・ヴェゲナー(S)とターニャ・アリアーネ・バウムガルトナーが加わった。コンサートマスターはグレブ・ニキティン。

 音楽監督ノットと東京響は、これまでにもリゲティの作品を数多く取り上げて来ている。定期演奏会でこのように大胆なプログラムを堂々と組んでみせるのは何とも意欲的で、立派だ。

 冒頭の「芸術家の生涯」での演奏が、いかにもそのリゲティの作品への導入という雰囲気━━ウィンナ・ワルツらしからぬ、物々しく暗く、「交響管弦楽のためのワルツ」といった感で、明るい曲からこのような陰翳を引き出して見せる興味深い例だった━━に満たされていただけに、続くリゲティの「レクイエム」がいっそう魔性的な物凄さを帯びて響く。たとえこの曲に、1960年代にハンガリーから恐怖の亡命を行なった彼の体験が反映されているにしても、その音楽自体が持つ衝撃的な強烈さは、聴き手を暗い恐怖感へ引き込むに充分であろう。
 P席に並んだ東響コーラスが実に素晴らしい演奏を聴かせた━━よくあれだけの「音が取れた」ものだと感服する。

 休憩後のタリスの作品でも、東響コーラスは全く曲想の変わった無伴奏の合唱曲「40声のモテット」を、壮大な拡がりを感じさせる豊かな美しさを以って演奏した。今日の主演賞と表彰状は、この東響コーラスに差し上げたいという気がする。

 無伴奏で歌われていたこのタリスの作品の間じゅう、オーケストラはすでにステージに並んでいたので、そのまま間をおかずに「死と変容」の神秘的なピアニッシモに入るだろうと予想していた(誰もがそうだったろう)が、何と指揮者は答礼し、引っ込み、オーケストラもチューニングをするという型通りの儀式になってしまい、拍子抜け。

 その「死と変容」は、演奏の力は充分。アンサンブルの音色は必ずしも美しくはなかったとはいえ、重量感はたっぷりのものがあった。ティンパニと管が強力に響いて、弦は厚みを感じさせながらもやや霞む傾向なきにしもあらず。リゲティのあとでは、R・シュトラウスのこの交響詩は、紛れもない後期ロマン派の特徴を際立たせる。

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