2019-07

2019・7・13(土)鈴木優人指揮神奈川フィル ハイドン:「天地創造」

     よこはまみなとみらいホール  2時

 昨日の広上&日本フィルの「ロンドン交響曲」に続き、今日もハイドンの名作を愉しむ。 
 鈴木優人が神奈川フィルハーモニー管弦楽団の定期に客演して指揮したオラトリオ「天地創造」。協演は澤江依里(S)、櫻田亮(T)、ドミニク・ヴェルナー(Br)、バッハ・コレギウム・ジャパン(合唱)。チェンバロは鈴木優人自身。コンサートマスターは崎谷直人。

 鈴木優人は、こういうレパートリーを指揮すると流石に良さを発揮する。しなやかでストレートな、かつ端整なアプローチだ。標題音楽的要素を殊更に誇張することもないし、演奏の起伏も大きいというほどでもなく、それに第1部では、やや慎重に過ぎたかと思えるような、山場の無い演奏だった。だが、第2部(「第5日」)以降では、ここぞという個所でいくつかの頂点をつくり、世界創造の物語にメリハリを持たせて行った。
 欲を言えば、全曲にわたってもう少しドラマティックな要素を浮き彫りにしてもいいのではないかと思ったが━━。

 神奈川フィルの演奏も清澄な響きを備えていた。これまでに聴いたこのオーケストラの演奏の中でも、今日のそれは指折りの美しさを感じさせるものだったろう。弦の音色の爽やかさが、この演奏の成功を導いたと言ってもいいかもしれない。

 だが、鈴木優人の「ここぞという個所で」に最もよく応え、演奏にひときわ力を添えたのは、やはり彼と呼吸の合っているバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の合唱団ではなかったろうか。特に第2部最後の合唱と、第3部の大詰の合唱での力感の昂揚は目覚ましかった。
 特に第3部の大詰の頂点━━合唱が「Ewigkeit」(永遠)の「E」を4小節にわたって延ばす個所で猛然とクレッシェンド、目覚ましい劇的効果を上げたのも印象に残る。そこでのオーケストラを加えた「魔法」のようなものを、録音でもあればもう一度聴いてみたいところである。

 この合唱団が、BCJ本体のオーケストラでなく、他のプロ・オケと協演したのは、国内では今回が初めてだそうだ。第1部の演奏が何となく慎重で平板な出来のように感じられたのはその所為もあったのだろうか? いずれにせよ、その「他流試合」は、なかなか面白かった。

 3人のソリストも好演で、櫻田亮の安定した天使ウリエル役は言うまでもないが、澤江依里(ガブリエル、エファ)が清楚な歌唱で、大詰でのテンポの速い「Amen」の軽快な跳躍を鮮やかに、輝かしく決めていたのも印象に残る。ドミニク・ヴェルナー(ラファエル、アダム)の落ち着いた気品のあるバスも、全曲を引き締めていた。

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