2019-07

2019・7・9(火)ミンコフスキ指揮オーケストラ・アンサンブル金沢

      東京芸術劇場 コンサートホール  7時

 芸術監督マルク・ミンコフスキとの東京公演。
 ベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲」(ソリストはクリストフ・コンツ)と、ブラームスの「セレナード第1番」という、2曲の「ニ長調」を引っ提げての登場。コンサートマスターはおなじみアビゲイル・ヤング。

 協奏曲は2階席で聴いたのだが、オーケストラ(OEK)の演奏はまさに完璧な構築といった感で、瑞々しい旋律美を保ちながらも古典的な端整さをくっきりと際立たせた快演となっていた。

 更に見事だったのは、クリストフ・コンツのソロだ。まだ30歳を出たばかりだが、ウィーン・フィルの第2ヴァイオリン首席と、レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルの首席客演指揮者とを兼任している才人。以前の「レッド・ヴァイオリン」という映画(私も観ているが)に天才少年として出演していたのが彼だったという話は、今回初めて知ったのだが・・・・。
 とにかく、実に気持のいいほど音程のしっかりした、清澄で気品のある音色のヴァイオリンを聴かせる青年である。その伸びやかで切れ味のいい演奏は、ミンコフスキの指揮するオーケストラと、若々しく清潔な対話を快く織り成していた。これは、まさに聴きものだった!

 後半のブラームスの「セレナード第1番」は、わが国では不思議にナマで演奏される機会の少ない曲だが、私の好きな曲である。これは業務上、試みに1階席後方に移って聴いてみたのだが、こちらで体験したミンコフスキとOEKの演奏は、かなり自由な、解放的なアンサンブルで、エネルギッシュな躍動感の強いものに感じられた。つまり、「質実剛健で謹厳なブラームス」ではなく、屈託なく寛ぎ、笑うブラームスだったのである。

 これはしかし、聴いた席の位置の違いゆえではあるまい。プログラムの前半と後半とで異なる世界を際立たせるという、ミンコフスキの音楽上の解釈もあったと思うし、またブラームスの若書きの音楽が、指揮者の音楽上の立ち位置の違いから、一般のイメージとは正反対の性格を以って描き出されることもある、という一例だろう。これだから演奏会は面白い。
     ☞(別稿) モーストリー・クラシック10月号 公演Reviews

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

お知らせ

●2007年7月以前のArchivesを順次、アップロード中です。併せてご覧下さい。
2007年7月
2007年6月
2007年5月
2007年4月
2007年3月
2006年7月

Category

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」