2019-05

2019・5・28(火)ネルソンス指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

      サントリーホール  7時

 余波を警戒し自重、日曜・月曜の演奏会は欠席連絡をして蟄居していたが、そうばかりもしていられないので、今日は痛み止めの薬を服用しつつ、午後からの東京芸術劇場外部評価委員会に出席、次いでサントリーホールに回る。未だ時々嫌な重苦しい脇腹の疼きに襲われるけれど、演奏を聴いているうちにいつの間にか治ってしまったようである。

 そこでライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団━━。
 2018年2月に第21代カペルマイスターに就任したのがアンドリス・ネルソンスだが、彼とのコンビではこれが最初の来日だ。

 最初に演奏されたのが、バイバ・スクリデとの協演による、ショスタコーヴィチの「ヴァイオリン協奏曲第1番」。5月18日に本拠地で1度演奏しているし、昨晩の公演(東京文化会館)でも演奏済みだから、今日は絶好調の協演というわけだろう。
 スクリデの清澄な音色と、ゲヴァントハウス管の重厚で陰翳の濃い響きとの対比が、絶妙な世界を創る。ショスタコーヴィチのこの曲がこれほど綺麗に聞こえたことはかつてなかったほどだ。
 彼女が弾いたアンコール曲は、ウェストホフの「鐘の模倣」だったが、これがまた美しい。太陽の光が波の上にきらめき、珠玉のような泡(=鐘の音)が現われては消える、といったイメージを想像させた。

 後半には、チャイコフスキーの「交響曲第5番」が演奏された。ドイツの老舗オーケストラも今やこんなに表情豊かにチャイコフスキーの交響曲を演奏する時代になったのか、と変なことに感心した次第だが、━━あまり所謂チャイコフスキーっぽくない雰囲気の演奏だったとはいえ、ひとつのシンフォニーとしての演奏という面では、極めて立派なものだったことは疑いない。

 ネルソンスは、細部にまで神経を行き届かせた指揮をする。この曲は、5月半ばにライプツィヒで3回演奏していたようだから、演奏が完璧に仕上がっているのも当然だろう。内声部の管を丁寧に浮き出せるのも、この曲におけるネルソンスの手法だ。
 が、何といってもこのオケ、弦の厚みと瑞々しさが圧倒的である。第3楽章の中間部では、その弦の細やかな動きがきらきら光る音の粒をつくり出す。それが煌めいて躍動するさまは、「マンフレッド交響曲」の妖精の場面を連想させるほどである。一方、第4楽章のコーダは、スコア指定の「モルト・マエストーゾ」でなく、歓喜の行進のような趣になった。

 アンコールとしてネルソンス、おそろしく長いスピーチ(英語)のあとに指揮したのは、メンデルスゾーンの序曲「ルイ・ブラス」。弦の素晴らしさが、ここでも全開する。流石にゲヴァントハウス管、ゆかりのメンデルスゾーンの作品を演奏すると見事である。あたかも、メンデルスゾーンはおれたちの音楽家なのだ、どうだ━━と言わんばかりの、愛情と共感の溢れる、壮大な演奏であった。

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

お知らせ

●2007年7月以前のArchivesを順次、アップロード中です。併せてご覧下さい。
2007年7月
2007年6月
2007年5月
2007年4月
2007年3月
2006年7月

Category

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」